「天風姤」症例1:30代女性

”一人の女に群がる男”

1月前から頭痛とめまいがあり、まず耳鼻科に行ったという。
頭痛は副鼻腔炎によるものという診断で、抗生剤とかめまいドメが、出たが良くならないので来院された。
見た目は普通だが、なにか色っぽさを感じる。

もともと頭痛持ちではないので、片頭痛ではなさそうだ。
何が原因か?ということで、横になってもらって診察した。

足には冷えがある。内側の脾経にそって瘀血を触る。
腹診でも下腹に瘀血がある。皮膚はピリピリして荒れている。
花粉症がありそうだ。花粉は目、鼻、喉のみでなく皮膚にも影響がでる。
喉はイガイガ感がありつまり気味。花粉のみで説明できるのか?
腹の瘀血があるので「生理痛はない?」と聞くと、婦人科で低用量ピルをもらっているという。
「ストレスは?」と聞くと、「すこしある」と答える。

起きてもらって、椅子に座ってもらい、PTM易で「何が問題か?」と聞いた。
すると、「天火同人」と「天風姤」が出た。
「同人」は仲間、友達、同僚を意味することが多い。
一方「天風姤」は女性の卦で、偶然の出会いとか、男性から声をかけられる、とかを意味することがある。割りと美人のかただから、ひょっとして「会社で男性から声をかけられない?すごくモテませんか?」と聞いてみた。でも、会社勤めではないという。

それでは何だろう?と疑問に思って、患者さんに「姤」の卦を見せながら、上の5つの一本棒が男性で、一番下の別れた棒が女性で、、、と説明した。
すると「実は風俗関係の仕事で。。。」と答えてくれた。

それなら、男性から声がかかるのは当然だ。それでは「同人」はなにか?
おそらく客のことだろう。「同」には「同じ場所にいる」「同じことをする」という含みがあるから。さらに、体調のことを聞くと、最近性病になって婦人科の薬も飲んでいたという。

おそらく風俗の仕事が負担になってきたのだろう。それが頭痛やめまいとして現れたのかと推測した。患者さんには「すこし仕事をセーブしたほうがいいよ」と言って、漢方はPTMで炙甘草湯を選び、花粉症に対してはビラスチンを選んで、終了とした。

コメント

●「天風姤」は臨床で出ることがあるが、なかなかわかりにくい卦だ。主に女性の卦といえる。男女関係、出会いがある、出会いがない、声をかけられるなどを意味する。

●「姤」は一陰が五陽の下に入り込んでいるので、下に入り込んだ女性が男を手球に取るような印象がある。だから卦辞に「女をめとるなかれ」とある。反対に、てっぺんに一陰をのせた「沢天夬」も良くない。女が男の上にのって支配しているからいずれ決壊する象といえる。

●下半身に関する病態は漢方をしていてもわかりにくい。患者さんが言ってくれないからだ。それでもPTMをしていると、下半身に関する漢方が反応したり、この例のように易の卦が反応してくれるので、患者さんが言ってくれなくてもわかることがある。