「天山遯」症例1:70代女性

”手術も膝が痛くちゃ逃げられぬ”

 1年前から首コリ、肩コリがあると行ってこられた方。
他にも右の腕のしびれが時々おこり、整形外科では頸椎が悪いと言われている。
それに対してはリハビリをうけている。
膝もわるいが特段治療をうけていない。
骨粗鬆症に対しては注射をうけている。
話をきくと、筋骨格系の問題が多い。
内科的には、血圧と高脂血症の薬がでている。
以前は胸が苦しくなりニトロが出ていたこともあると。
身長はそれほどないが、みるからに横幅が大きい。

 横になってもらって診察する。
いつものように足から順番にみていった。。
足首にむくみがあり、脾経の奥に瘀血をみとめた。
膝に移ると、かなり変形がきつい。
特に左の膝は触ると熱を持っているのがわかる。炎症がある。
両方とも関節がまっすぐに伸びない。
膝が切り株のようにゴツゴツしているので、これでは痛いだろうとおもう。
「痛くないですか?」と聞いてみた。
やはり痛いとおっしゃる。歩くときには杖を使っている。
腹をみると、膨満している。
栄養過多の腹だ。これでは体重がおもくなり、膝の負担が増すばかりだ。
「食べすぎですよ」というと。
美味しいから沢山食べるという。
「運動していますか?」ときくと。
コロナがあるので、家にこもっているという。
家にこもって、テレビをみてお菓子をたべているようだ。
運動をするにも、あの膝では無理だろう。
「膝が悪いから、運動できないんじゃないですか?」と聞くと、
家の周りは坂道がおおいので歩けないと言う。当然運動もできていない。
診察でわかったのは、一番の問題は、”食べ過ぎによる肥満”だ。
ただ、食べ過ぎを改善する薬は特殊な場合でしかつかえない。
ひょっとして、膝の手術をしてもっと歩けるようになれば、全体が改善するのではと、感じた。

 そこで、起きてもらってPTM易で「一番問題点は?」と聞いてみた。
すると、「天山遯」が反応。
この卦の意味はすぐに閃いたので、患者さんに次のように聞いてみた。
「膝の手術を勧められていませんか?手術を逃げていませんか?」と。
すると、5年前から整形で勧められているが、手術が怖いし、コロナが起こってきたので、
コロナを理由に伸ばし伸ばしにしていると言う。
やっぱり、手術から逃げようとしている。だから「遯」なのだ。
「天山遯」は、逃げる、逃避、引き下がる、を意味する。
今かかっている、整形外科では、すでに信頼できる手術病院を紹介されている。
気の流れでみると、その病院と患者さんの相性も悪くない。
多分、順調に行くはずだ。
なぜなら、手術をするとどうなるかもPTM易で見たところ、「火天大有」や「雷天大壮」が反応したからだ。言うまでもなく、これらの卦は吉だ。
よって、患者さんには「コレだけ膝が痛いと、もう逃げるわけにはいかんでしょ。まだ若いし手術したらどうですか?」「歩けるようになったら、人生はもっと楽しいよ。」と手術を勧めた。

 漢方は食べ過ぎに効く「五積散」をPTMで選んで、終了とした。

コメント

●「天山遯」は、逃げる、逃亡、隠遁、遁走、退く、などの意味がある。普通は撤退すべき時に出る卦だが、今回は問題点を聞いたので、退くのは良くないということ。だから「退くな」と解釈した。

●このような症例に「漢方」を処方したところで、効果はすくない。本質的な問題の治療にならないからだ。やはり、西洋医学の得意な外科的治療を選択すべきだ。どのような治療をえらぶかもPTMをするとわかることが多い。

●私は「五積散」を食べ過ぎの人によく使う。食べすぎて関節が固くなっているひとにPTMがよく反応する。