”撓むほどの「過」労働”
いつも来られている方。抗うつ剤と漢方を処方させていただいている。
薬を飲み始めてから体調も精神的にも安定している。今回も、薬がなくなったらシンドイといって来られた。
ベッドに横になってもらって診ると、気のレベルの低下があるので疲れはありそう。
でも同時に気の流れがわるい。「どうして?」と聞くと。
元気のなさそうな顔で、忙しくてつかれているという。
起きてもらい、椅子に座ってもらい、いつものようにPTM易をする。
何が問題かを易に聞いた。すると「沢風大過6爻」と「火水未済」が反応。
「大過」なので仕事が多過ぎる、オーバーロードなのだろう。
仕事が多すぎて、まさに重さで”棟木が撓んで”(卦辞)いる状態。
頭まで仕事に埋まりそうな状態(6爻)が推測できる。
ちなみに、大過6爻の爻辞は「過渉滅頂。」とあり”大川を徒歩で渡って、頭の上まで水に沈む。”という意味がある。
おまけに、会社で仕事が済まない(「未済」)ので、休日も自宅に持って帰って
仕事をやっているという。これでは疲れるだろうと同情する。
患者さんが困っているので、「どうしたらいいか?」ということもPTM易で聞いてみた。すると「天水訟6爻」が反応。これは会社の上層部に話して要求しろということだろう。
状況から見て「訟」だが「訴訟」まではいかないはず。6爻はかなりの上層部を意味する。
実際、患者さんも人員補給をしてもらうように、社長に話すつもりだという。
このままでは、自分が潰れそうだと、真剣な面持ちで話していた。
漢方はPTMでみて補中益気湯を処方して、終わりとした。
コメント
●「沢風大過」は、臨床では「何かが多過ぎる」、「やりすぎる」、「期限をすぎる」とかが出ることがある。この方の場合は典型的に仕事が多すぎた。
●卦の爻もPTMで見ていくことがある。どれかの爻が反応すれば、この例のように爻辞が意味を持つこともあるが、意味がわからないこともある。その時は深く追求しないで、爻の位置や卦のみで判断している。
●「火水未済」はあまり臨床ででない。でもこの方の場合は意味はあきらかだった。仕事が終わらないことがすぐに分かった。
●「どうしたらいいか?」はあまり易に聞かないのだが、今回はPTM易をやると「訟」がでた。これも上の解釈のように意味が明瞭。「天水訟」についてはまた別に書きます。