「風地観」症例1:30代女性

”ステージの上は観”

頭痛やめまいで時々来られる方。
今回は、もうじきピアノの発表会があり、心配になってきたといって来院する。

ピアノを教えておられるが、生徒の発表会のときに自分の腕も披露しないといけない。
この仕事を長くやっているので慣れてはいるが、それでも時々不安になるらしい。

寝てもらって診ると、頭がおもくて、のぼせ気味。心配して考えることが多いのだろう。
喉が乾燥して、左の肩から脇にかけて痛みがある。
「左の肩が痛くないですか?」と聞くと。
「3日前から、痛くて夜に寝にくい」とおっしゃる。
更に高次のレベルを診ると左の肩のあたりにどんよりしたエネルギーを感じる。
このエネルギーはどこからきているのだろう?と疑問に思う。

起きてもらって椅子に座ってもらう。
そして、この患者さんの「今の問題点はなに?」とPTMで易に問う。
すると「風地観」が反応した。

なるほど、「観」だから「観られる」のは緊張するのだろう。
それだけでなく、「観客」「観衆」も問題かもしれないと思って、
患者さんに、観客が問題じゃないですか?と聞く。
「そうなんです、今回は見に来てくれる人が多くて、生徒の家族だけでなく、
同業のピアノの先生もたくさん来る」と言う。

さらに聞くと、先生でも発表の機会はそれほどないらしい。
どうも、30才チョイの駆け出しの自分のところが流って、生徒の発表も多いし、自分のコンサートもやるので、年配の先生が多い組織では目立つようだ。
なるほど、それなら背中の暗いエネルギーは「嫉妬」だろう。
「嫉妬されてない?」と聞くと。
やっぱりそのようだった。患者さんも薄々感じていたようだ。

これがわかって、左の背中の痛みもフット楽になった。
面白いもので、患者さん自身が原因がわかると、それによる症状が瞬間に取れることがある。
もちろん、エネルギー的な原因に限るのだが。

さて、これで患者さんも見通しがたって明るくなったので、
最後にPTMで漢方(当帰建中湯と補中益気湯)を選んで、終了にした。

コメント

●「風地観」は、見ること、仰ぎ見る、などを意味する。臨床であまりでない。以前「お墓参り」という意味で出たことがある。この卦の形は「大艮」で鳥居や廟の形に似る。だから、先祖祭り、参拝などを意味することがある。他に、有名なところでは、「観光」は4爻の爻辞からできた言葉だ。

●今回、あらためて「観」の「大艮」の形をよく見ると、「ステージ」に見えませんか? ステージに上がると観客からは仰ぎ見られることになる。まさに「観」の意味するところだ。

●他人のネガティブなエネルギーは左肩に入っていることが多い。平安時代なら「生霊」とでも言うのだろうか。