”怒鳴る客にも礼をつくせ”
めまい、耳鳴で来られている方。
企業でクレーム対応の電話のかかりをしている。
1年前から、左で電話を取るのだが、左耳に耳鳴がおこったという。
電話で相手が怒っていると、動悸がして耳鳴りがひどくなる。
怒鳴られることもしばしばあるという。
電話にでたあとも、一日中イライラが続く。
当院では抑肝散、抑肝散加陳皮半夏を処方して
耳鳴の程度は減少したが、まだすっきりしない。
今回も左の背中が突っ張るといって来られた。
横になってもらって、診ると、足は肝経の突っ張り感がある。
腹診では左が緊張して、左側のながれがわるい。
(一般的に、怒りがあると主に左に症状が出やすい。)
電話のむこうで客が怒ると、こちらも腹が立つが、無理に抑えている。
抑肝散は怒りに対する漢方なので、効くのは納得できる。
起きてもらって椅子に座ってもらい、対応を考えた。
気の流れのわるい原因はハッキリしているので
「どうしたらいいか?」と、方針をPTMで易に聞いてみた。
すると「天沢履」が反応。
これは「礼儀」意味する。つまり、お客さんに礼儀を持って電話対応をしろということ。
どうですか?と、聞くと。
クレーム客に、こちらも腹が立っているので、怒りを抑えて邪険に対応していたという。
「礼を失していたかもしれないですね。」とおしゃった。
漢方はPTMでみて、抑肝散と加味帰脾湯を処方して、終了とした。
コメント
●「天沢履」は、礼儀、温和な態度などを表す。臨床ではあまり出ない。以前、「できの悪い上司にたいして礼儀を示さない部下」という意味で出たことがある。
●現代人では、怒りが様々な変わった症状の裏に潜んでいる。だから、当院では抑肝散、抑肝散陳皮半夏の使用頻度がとても高い。
●怒りがあると、症状は左に出やすい。野口整体のいう、「ヒステリー球」(漢方の梅核気ではありません)というのがあるが、これは左の胃の上のあたりの腹部にでる。