「地水師」症例1:40代女性

”ケンカは店の外でして!”

居酒屋を経営している女性。
体調が悪いと、時々来てくれる方。
今回も3週間前から動悸がある、肩がこるといって来院。
循環器内科にいってみたが、心電図で異常なし。
心臓の問題ではなさそうだ。

横になってもらって、診察する。
足はすこし肝経に緊張がある。
腹はたべすぎておもたい、気のながれがどんよりして淀んでいる。
「どうして?ストレスとかない?」と、聞くと。
従業員の人が、乳がんになって手術を受ける予定。
癌が進行しているかもしれないので心配と。
さらに休むと人手の補充はどうするかも考えないといけないと、話してくれた。
「なるほど、それがストレスか」と、納得。
それなら気の流れが悪くなって当然だろう。

起きてもらって、椅子に座ってPTM易で「気の流れが悪い原因は?」と聞く。
すると、「地水師」が反応。「ウンー(?_?)」
従業員が病気になってどうして「師」がでるのか?
なにかおかしい。
そこで、「誰かグループ同士ケンカとかしてない?」と患者さんに聞くと、
次のことを話してくれた。

店の馴染みの客で、3週間前に、グループ同士がケンカになったという。
お互いに知り合いの仲間だったが、退職者と現役の者(とは言っても70代と60代でそれほど差がない)が、なにかのきっかけで言い争いになったらしい。
かなり激昂してきて、そのうちの一人が、テーブルにあった食べかけの「唐揚げ」を別のグループの人に投げつけたらしい。それが、悪いことに顔にモロに当って乱闘になる寸前までいったという。
女将と従業員が止めに入ってなんとかその場は収まった。
でも、両方とも馴染みの客なので、患者さん(女将)は厳しくも言えなく困っているという。
そうか、従業員の病気でなくて、客同士の喧嘩が主たる問題なのだとわかった。
「ケンカは店の外でやってもらいたいですよね。」と私が言うと、
「そうそう、そうなんです」と答えてくれた。

今回は、怒りを収める効果のなる「抑肝散陳皮半夏」をPTMで選んで処方して、終了とした。

コメント

●「地水師」の「師」は戦争を意味する。だからこの卦がでると、個人同士の争いではなく、グループ間の争い、諍い、抗争、競争などを表す。「団体戦の試合」というのも出たことがある。

●戦争と言っても、本当の戦争が出ることは極めてまれだ。現在、ロシアのウクライナ侵略戦争が勃発しているが、当院の患者さんに影響が及んでいることはない。殆どの人は自分の周り「周囲5m」のことで手一杯だから、遠くの戦争など悲惨な状況があっても影響を直接受けていない。

●患者さんの言うことは、ときどきあてにならないことがある。自分で問題と思っていることとは別に、大きな問題点があることがある。こんな時にもPTM易は役に立つ。