「風雷益」症例3:40代男性

”社長が待っている”

当院にはこれで3回目の方。
コロナの症状がひどくて、その後
後遺症があり、会社をやすんでいる。
いまで1月休養している。
大きな病院にかかっているが、当院には漢方治療を希望してこられた。
当院の治療を併用してから治りがいいと言ってくれる。
もう少しで仕事に復帰できそうだという。
最近は、咳もとまったし、睡眠もとれるようになった。
試しに事務所に行くと、昼まではなんとか持ちこたえるが
午後から急激に疲れが出るという。
このあたりを、漢方でなんとかならないか?
復帰するのに少し焦っている感じをうける。

横になって見せていただく。
足にはむくみがある。
瘀血もある。
腹は、やや水がおおい。
腰が少し硬い。
以前のような心臓の苦しさはなくなっている。
肝臓の上には肝虚をみとめる。
のどにはイガイガがあり
秋の花粉が出てきている感じをうける。
さらに見ると、肩にエネルギーが乗っている。
それほど重たいものではない。
これはなにか?

起きてもらってPTM易で見てみた。
問は「入っているエネルギーはなにか?」としてみた。
すると「水天需」「火天大有」「地雷復」「風雷益」が反応した。
火天大有は、隆盛、指導者、豊かさなどを意味する。
今回は5爻が反応したので、リーダーとか指導者の位置だ。
水天需は、待つことを意味する。
すると、誰か上のものがこの方を待っているのではないか?
「だれか、上司が待ってくれていますか?」
  「そうです、社長が待ってくれています。」
「社長ですか?」
  「私のことを期待してくれていて。早く帰ってくるように言ってくれます。」
復帰を待ってくれているので「地雷復」でいい。
これは納得する。
すると「風雷益」はなにか?
聞いてみた。
「なにか、会社の売上に関係する重要な仕事をしているんですか?」
  「そういえばそうです。私が立ち上げた部署が伸びていて、期待されているんです。」
だから、風雷益がでたのだ。
会社の利益になって、この方にも利益になる。
社長が待ってくれていることは悪くない。
でも、焦ると良くない。
復帰は完全に治るのまで待ったほうがいいだろう。
処方は、黄耆建中湯などを処方して終わりとした。

コメント

●「風雷益」は、利益、収益、得になる、溢れるなどの意味がある。

●臨床ではその性質上、綜卦の「山沢損」が出ることが多い。

●「火天大有」の5爻は典型的には、社長とかのリーダーを意味する。