「天山遯」症例3:50代女性

”地味な仕事から逃げたい”

2回目に来てくれた人。
めまいも減って、頭痛も減ったと言ってくれた。
漢方は効いている。
今回は2週間前にコロナにかかり、
治ったが咳が残るという。
他に症状はキツくないので内科の薬も飲んでいない。
ただし、コロナのあとからか胃腸の調子が悪いという。

横になり見せていただく。
足にはむくみがある。
水分が多いかもしれない。
皮膚はピリピリしてアレルギー気味だ。
腹には冷えがある。
胃がおもい。
胃腸の調子が悪いのがわかる。
肝臓には疲れがある、肝虚といっていい。
のど鼻がイガイガして違和感がある。
咳が残るという症状に合致する。
更に見ていくと、気の流れが重い。
コロナの後遺症にしては変だ。
別に何かあるように思う。

起きてもらって、PTM易で聞いてみた。
問は「この方の体の奥の問題は?」としてみた。
すると、「天水訟」「天火同人」「雷地豫」「天山遯」などが反応した。
天水訟は、文句、訴え、諍いなどをいみする。
天火同人は、同僚、仲間、友達などを意味する。
おそらく会社に問題があるのだろう。
「会社で、嫌な人はいませんか?文句が多いような、苦情ばっかり言うような人で。」
  「います。隣の席の人が文句ばっかり言っています。」
雷地豫は、楽しみ、喜び、などを意味する。
すると、その人は楽しいことが好きなのか?
「その人は、楽しいこと、賑やかなこととか、好きじゃないですか?」
  「そうです。デザインとか企画とかやりたいみたいです。」
「今、何やっているんですか?」
  「一般事務です。」
「その人は、事務などの地味なことが嫌い?」
  「そうです。部署を移りたいみたい。落ち着きがないので、嫌われている。」
とういことは、これで天山遯の意味も明らかになった。
その同僚は、今の事務をやめて、デザインとかの賑やかな仕事に移りたい。
今の仕事から逃げ出したい。
だから天山遯がでた。
この患者さんもその人が文句を言って落ち着きがないので、苦手なようだ。
でも、コロナ以外の問題点がわかったので気は流れ出した。
喉の症状には点鼻薬を、漢方は六君子湯を処方して終わりとした。

コメント

●「天山遯」は、逃げる、逃走、引退、などを意味する。何かから逃げるので、その対象が問題となる。

●今回の人は、地味な仕事が嫌なのでそこから逃げ出したいという意味に取れた。
向かいたい対象は「雷地豫」が示す、楽しいことだ。