”マムシが侵入”
月に一回こられる方。
体調は比較的いいと。
血圧もあんていしている。
朝計ると130/80程度だ。
食事も注意して太らないように気をつけている。
体重は徐々に減ってきている。
3月前から3kg減ったという。
農作業をして忙しくしている。
ときどき腰が痛くなるが、農作業で力をつかうからと仰る。
以前より体がかるくなったので、心臓の動悸もへった。
横になって見せていただく。
足にはやや疲れをかんじる。
最近、野菜の収穫があり忙しという。
腹には、やや水がおおい。
のどには乾燥がある。
暑いので水分をたくさん飲んでいる。
でも、全体的に気の流れがわるい。
どこかに重たいものをかんじる。
忙しくて疲れているというが、それだけが原因とはおもえない。
別になにかありそうだ。
起きてもらってPTM易でみてみた。
問は「体の奥の問題は?」としてみた。
すると、「風天小畜」「山風蠱」「地水師」「巽為風」などが反応した。
風天小畜は、小動物のことがおおい。
山風蠱は、汚れていること、腐敗、虫などをしめす。
生き物が問題なのか?
「なにか、小さな動物で問題はありませんか?ペットとか、害虫とか?」
「害虫はでないな。薬をまくのでよってこない。」
「他になにか、生き物は?」
「マムシが出よる。」
「マムシって、毒蛇ですか?」
「この前は、家の玄関におった。鎌で首をきってやった。」
「えー、マムシを殺した?危なくない?」
「おいていたほうが危ない。音をさせたらにげるけどね。」
「庭にもいるんですか?」
「裏の畑にもでる。月に1匹は殺している。」
なんとなく、問題がわかってきた。
地水師は、戦いをいみする。マムシとの戦いだ。
巽為風は、侵入をいみする。知らず知らずにマムシに家や庭に入りこまれている。
それに対して腹が立っている。
確かに、マムシは毒蛇なので、危ないが、多分ネズミとかを食べてくれているはず。
一概に害獣ともいえない。
それよりも、庭の草をかって綺麗にしてマムシが嫌がるような環境整備をすることが先決ではないだろうか。
このままだと、マムシに噛まれる危険もないとはいえない。
患者さんには、その点を注意して、漢方は抑肝散陳皮半夏などを処方して終わりとした。
コメント
●「巽為風」は、従う、柔順、入り込む、侵入、などの意味で出る。臨床ではそれほど多くない。
●今回は、マムシが侵入した、入り込んだ、という意味で解釈できた。この卦は”泥棒のようにコソコソと知らないうちに入り込む”というイメージが有る。
●マムシは確かに毒蛇だが、人間の都合のみでやっつけようとすると、しっぺ返しがくる危険がある。マムシも自然の一部で、それなりに出てくる理由があるように思う。