「天風姤」症例4:50代男性

”やりてのオバサン”

家庭でストレスが多いと言ってこられている方。
話によると、
妻に虐げられているという。
気が弱くて、奥さんの尻に敷かれている。
昔の言葉でいうと「かかあ天下」になっている。
働いて帰ってくると、妻がいるので気が重くなる。
でも、食事とか生活のすべてをたよっている。
お金の管理もすべて妻に任せている。
言いなりになるしかない。
それも、仕方ないと自分で言っておられる。
今回も、外来で愚痴を言われる。
なかなか、医学ではどうもしようがないので、
私も話を聞くのみになることが多い。

とりあえず横になって見せていただいた。
脚は痩せ気味で緊張がある。
食事は食べれているようだが、胃経がよわい。
腹はやや緊張がある。
ガスもすこしみとめる。
全体的に痩せ気味の体格だ。
更に見ていくと、
首がおもい。
考えることが増えているのだろうか。
妻以外に問題があるのだろうか?
仕事は特に問題ないと言っていたが。

起きてもらってPTM易でみてみた。
問は「この方の今の最大の問題は?」としてみた。
すると、「地水師」「風火家人」「雷天大壮」「天風姤」
などが反応した。
風火家人なので、やはり妻が問題なのか?
「奥さんは、更にキツくなっていますか?」
  「いいえ、変わらないか、むしろ少し優しくなっています。」
風火家人は身内を意味すのだが、誰だろうか?
地水師は、ケンカなどの状態を意味する。
「それなら、奥さん以外の人でキツイひとはいませんか?喧嘩ぽい人とか?」
  「オバサンが、怒りっぽくて、妻と仲が悪くなっています。」
それなら、これはオバサンだ。
このかたの父の妹に当たる。年は70代だろうか。
今回はオバサンが最大の問題になっている。
妻もオバサンも喧嘩っぱやい人だ。
その二人が喧嘩して、患者さんはオロオロして振り回されている。
雷天大壮からは、かなり押しが強い人、声が大きい人のように見える。
天風姤なので、これは女のやり手だ。
場合によっては男が太刀打ちできない女性だ。
この患者さんが困るのは、周りに強い女性ばかりがいるということ。
このような問題は漢方でどうしようもないが、ストレスに対して
抑肝散陳皮半夏などを処方して終了とした。

コメント

●「天風姤」は、遭遇、女難、不倫、など女性が関係するときによくでる卦だ。

●「天風姤」の卦辞に次のようにある。「姤、女壯。勿用取女。」(姤は、女壮んなり。女を取るに用うる勿れ。)つまり、女の力が強くて結婚するな、という意味だ。まさに、この方の状況を示唆している。