”早食いで寝れない”
月に1回来ていただいている方。
高血圧や高脂血症もあるので漢方以外に西洋薬も処方している。
最近は、睡眠が浅くて早く覚めるという。
本当は6時間程度寝たいのだが4時間で覚める。
その後も寝れるが、昼間にスッキリしない。
疲れが残っている感じがする。
夜にトイレに起きるわではない。
また、悪夢があるわけでもない。
ストレもそれほど多くない。
さて、原因は何だろうか?
横になって見せていただく。
脚はむくみがある。
でも、よく動いているので筋肉はしまっている。
健康そうな脚だ。
腹は、膨満気味。
明らかに食べ過ぎだ。
肝臓もやや鬱滞している。
脂肪肝をうたがう。
高脂血症があるので、食事に注意しなければいけない。
喉もややつまり気味。
頭がすこし重たい。
首と肩がやや重い。
気の流れはそれほどいい訳ではないが、
悪いエネルギーは外から入っていない。
それでは何が睡眠障害の原因なのか?
起きてもらってPTMで易を見てみた。
問は「この方が寝れない原因は?」としてみた。
すると、「火雷噬嗑」が反応した。
「火雷噬嗑」は、かみ合わせが悪い、出る杭、障害、異物などの意味がある。
歯が悪いときにも出ることがある。
そこで聞いてみた。
「歯は悪くないですか?」
「いや、今は悪くないです。治療が終っています。」
また、食べ物が合ってないときもこの卦が反応することがある。
さらに、聞いてみた。
「何か、最近好んで食べているものはないですか?」
「ないですね。いつもと同じです。」
本当だろか?
気になったので、食材の画像(図)をつかってPTMで見てみた。
確かに反応がない。特に悪いものを食べているのではなさそうだ。
すると、何が原因だろうか?
ひょっとすると、早食いが原因ではないだろうか?
早食い→噛まない→歯が悪いのと同じ→火雷噬嗑、と連想がつながる。
「早食いでないですか?」
「そうですね、ガツガツ食べます。昼はいそがしいので弁当を5分で食べます。」
「えー、5分は早すぎない?夜も早いですか?」
「夜も、たくさん食べるので、早食いです。妻が呆れています。」
なんと、噛まずに食べる人だ。
それでは、胃腸に負担がかかる。
寝ている間に、胃腸が苦しくなって、起きるのだろう。
ゆっくり噛んで時間をかけて食べるようにアドバイスした。
そうすれば食べる量もおのずから減るだろう。
漢方は五積散を処方して終わりにした。
コメント
●「火雷噬嗑」は、障害、異物、ギクシャク、出る杭、などを意味する。
肉体的には、歯の問題、口の問題を意味することがある。
この患者さんの場合は、歯の問題から連想して「早食い」にイメージが繋がった。
●睡眠障害があるときには、簡単には睡眠薬を処方すればすむのだが、
別に原因があることがわりとある。
精神的な問題以外で多いのは、夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群だ。
この2つは、診察でだいたい把握できる。また治療法もある。
しかし、この方のように早食いが原因のときは、診察のみではわかりにくい。
易をつかうと、わかりにくい原因にもアプローチできる。
●一般的に、夜遅くたくさん食べるひとは睡眠が悪い。
胃腸が寝ている間に休まることがないからだ。
この方は、たくさん食べるのに加えて、噛むことが少なかった。
多量に食べるのが原因なら「雷天大壮」「沢風大過」などが出るはずだ。
口に問題があったので「火雷噬嗑」が出たと思われる。