「地水師」症例3:30代女性

”南海トラフは来る?”

時々来てくれる方。
今回は疲れがあると、また体調が悪いというので来られた。
夏バテだろうか?
今年の夏は厳しく暑い。
温暖化が身近に感じられる。
何が原因か見たいので、横になってもらって診察した。

脚にはむくみがある。
腹はそれほどわるくない。
食べれているので夏バテではない。
しかし、エネルギーが少し低下。
疲れはありそうだ。
さらに見ていくと首が重く、目も重い。
普通の疲れだろうか?
それだったら、補気剤とかになるだろう、と思いながら
起きてもらって、漢方の選択にかかった。

椅子に座ってもらって、さてPTMで漢方を選び始めたら、
患者さんが、友人からの伝言が有ると切り出した。
その友人は私も知っている方だ。
伝言の内容は、というと、
「先生は、南海トラフ地震をどう思いますか?」だった。
突然なので、私はビックリ。
昨日(2024年8月8日)宮崎で地震があり、たしか「臨時情報」とかいうものが発令されたらしいということは、ネットのニュースで知っていた。
でも、いつもの事か、とほとんどスルー。
患者さんが言うには、その友人は今回は地震が起きる確率が高いのではないか、と予想しているらしい。以前の阪神大震災のときには、その方の予感があたり周りの多くの人が助かったという噂がある。
今回も、なにか「ピーンときた」らしい。

と言っても、私には情報も意見もない。
南海トラフ地震については全くの勉強不足だ。
仕方ないので、易に聞いてみた。この場合、
「南海トラフ地震は起こりますか?」と聞いても易は答えてくれない。
100年もたてば起こるに決まっているからだ。
このようなときには、時間を区切ることが必要だ。
そこで「これから1年以内に南海トラフ地震がおこりますか?」と問いを立てた。
投げ算木で組み立てると、「地水師3爻」がでた。
師は”軍隊、戦争、ケンカ”などを意味する。
3爻を読むと「師或輿尸。凶。」(しあるいはかばねをになう。きょう。)とある。
これはヤバいと直感した。
日本には軍隊はないが、それに代わるものは自衛隊だろう。
そうすると、3爻は「自衛隊が死体を運ぶ。凶。」となる。
大災害のイメージが浮かんでくる。

患者さんには、その友人に、1年以内に起こる可能性があるとの伝言を頼んだ。
患者さんには、補中益気湯と抑肝散を処方して終わりにした。

コメント

●地水師は、上記のように戦い、争い、軍隊、ケンカなどを意味する。臨床ではよく出る卦だ。

●今回の易占は、患者さんについてではなく、聞かれた問に対して占断した。当然、それが易の本来の使い方だろう。

●気になるのは、「南海トラフ地震」だ。私は、それまで勉強不足で、完全に白紙状態。
これでは困ると実感した。外来が終わってからネットで勉強を開始した。
 今回の卦は、大災害を示唆するが、実際に起こるかどうかはわからない。易自体が曖昧な部分が多いし、現実の未来は決まっていないというのが私のスタンスだ。未来は変わりうるし、変えることもできる。
 しかし、地震については、起こる可能性が高いという科学的根拠がある。
このような、人間をこえた自然現象については、人間が行動をかえたところで変化はないだろう。(もちろん、温暖化のように人間の活動が原因になっているものもあるが。。。)行いを改めたところで、自然災害は降ってくるのなら、逃げる準備をするのが賢明だ。
 また、今回のケースは、私が地震が気になって易を立てたわけではない、相手から「問が降ってきて」それを契機として易を立てた。その意味では、易に対しては中立の立場だ。だから、余計に、今回の結果は気になっている。
今後、1年間は用心しようと、自分に言い聞かせている。