「艮為山」症例2:50代女性

”頑固な母”

頭痛があるといって数年ぶりに来られた。
最近また増えてきたという。
ロキソニンをのんでも効きが悪い。
ときどき嘔吐もする。
それにつれて胃も痛くなる。
体調が悪い。
単なる片頭痛でもなさそうだ。

横になってもらって診察する。
足には緊張が胃経にある。
膀胱経の緊張もある。
腹は瘀血が軽度。
胃の流れもわるい。
首がおもたい。
太淵に鍉鍼を当てて意識を集中すると、
左の肩に重たいエネルギーが入っている。
これは誰だろうか?
そこで聞いてみた。
「誰か気になる人がいませんか?家族とか、知人とか。」
  「母が気になっています。」
「介護しているんですか?」
  「いえ、O県で弟と住んでいるんです。」
「見てくれる人がいるんでしょ。」
  「弟は独り者で、母ともあまり話をしないようなんです。」
お母さんは寂しくなって娘である患者さんに電話をしてくるという。
遠くなのでそれほど帰れない。
それが心配だという。

起きてもらってPTM易で更に見てみた。
「お母さんの問題は?」と問いを立てた。
すると、「雷天大壮」「艮為山」などが反応した。
艮為山は頑固な人でよく出る卦だ。
「お母さんは、頑固でないですか?人付き合いがすくなくない?」
  「そうなんです、だから話し相手がいないので私に電話をかけてくる。」
雷天大壮は”大兌”なので大きな口だ。
「お母さんはよく喋りませんか。」
  「そうです、そうです。電話でずっと喋っている。」
息子と住んでいるが、相手にしてくれなくて、人付き合いも悪いので、
娘に話し相手になってもらいたい。
だからしばしば電話をかけてくる。
80歳の母には友達も少ないようだ、
ただし、動物はそれほど嫌いでもないらしい。
そこで、猫や犬などのペットを飼うことを勧めてみた。
今回は、半夏白朮天麻湯を処方して終了とした。

コメント

●「艮為山」は止まる、止める、停止、篤実、誠実、などの意味がある。

●臨床的には「一旦止まるのがよい」「障害が2つある」などで出た。

●性格的にはドッシリして「誠実篤実」という良い面があるが、悪い面は「偏狂頑固」となる。