「風山漸」症例2:13歳女性

”ゆっくり成長”

アトピーと喘息で通院してくれている方。
漢方の投薬で顔が真っ赤だったのがましになってきている。
喘息も最近は起こっていない。
体調は安定してきている。
好きだったお菓子も減らしてくれている。
お母さんも頑張って食事に気をつけている。
今回は、鼻と目がシンドいと言ってこられた。
黄砂などで空気が悪いのでひどいようだ。

横になってみてみる。
足は冷えがある。
それに膝あたりのむくみもある。
脾経の鬱滞がある、瘀血かもしれない。
皮膚はややむくんで流れが悪い。
腹は、左の下腹の張りがある、すこし痛みも感じる。
軽度の瘀血だ。
喉はやはりイガイガがめだつ。
鼻の通りがわるい。
目もすこし赤くなってショボショボする。
顔のアレルギーの症状がきつい。
空気中の黄砂とか花粉が原因だろう。
でも、下腹の痛みはなにか?
「腹が痛そうだけど、痛くない?」
  「ううん、痛くないよ。」
私が感じても患者さんは感じないことがわりとある。
多くは私の感じた方が正しい。

起きてもらって、算木で易を組み立てた。
「今の問題は?」と占的をたてた。
すると「風山漸」が反応。
風山漸は”ゆっくり進む”という意味ででる。
何がゆっくりしているのか?
下腹の瘀血があったので、お母さんに聞いてみた。
「生理とかは、どうですか?」
  「それが、まだなんです。」
それなら、生理が来てないことに関係するか?
しかし13歳はそれほど遅いわけではない。
下腹が痛いのはもうじき近いのかもしれない。
風山漸という卦はゆっくり進むことの徳を解く。
ゆっくり成長することは悪くない。
その点をお母さんにいって、
今回は補中益気湯、当帰建中湯と抗アレルギー薬を処方して終わりにした。

コメント

●「風山漸」はゆっくり進む、着実に進む、徐々に進行、漸進、などの意味がある。

●臨床的には、「ゆっくり行動しすぎた」「行動が遅い」「手順を踏む」などで出ることがあった。

●この卦「は着実に前進する」という意味では悪くない卦だ。