”お菓子のストレス食い”
2週間前から下痢があると言ってこられた。
1年ぶりの来院だ。
食べると腹が痛くなりすぐに便が出る。
かつ、便が柔らかくて気持ちよくでないという。
また、体がだるいという。
やる気が出ない。
症状は1月前ぐらいからだという。
内科にはかかっていない。
横になってもらって診察する。
足はむくみがある。
さわると、エネルギー低下があり、だるいのがわかる。
これではやる気が出ないだろう。
下腹はボテッとしている。力がない。
胃のあたりも重たい。
肝臓も力がない。
太淵に鍉鍼を当てて意識を集中すると、
喉がつまり気味だ。
胃腸だけの問題でなく、精神的な問題もあるのだろうか?
起きてもらって投げ算木で初爻から易を組み立ててみた。
問は「この方の問題は?」とした。
すると「雷火豊」がでた。
雷火豊は”豊か、お金持ち”を意味する卦だが、どうも変だ。
「雷火豊」は今までの経験で”お菓子”を意味することがおおいので、聞いてみた。
「お菓子が多くないですか?」
「2週間前まで、毎日お菓子をバカ食いしていました。」
下痢の原因はお菓子の食べ過ぎだ!
それなら単純だ、お菓子をやめればいい。
でも、気の流れが改善しない。
なにか問題が別にありそうだ。
そこで、六四卦のチャートを使ってPTM易でさらに見てみた。
すると、「天地否」「天火同人」「離為火」「山沢損」「沢水困」などが反応した。
「困」なので、なにか困ったことがあったのか?
「困ったことはないですか?」
「工場をやっているんですが仕事で困っていました。」
「離為火」が出たので、誰か辞めたのだろうか?
「誰か、辞めたとか、離れたとか、ないですか?」
「仕事がなかったんです。」
「仕事がない?」
「3月間注文がなかったんです。」
話によると、いつも注文をくれる親会社が、その間注文をくれなかったらしい。
だから、困っていた。
そしてストレスが多くて、お菓子を沢山食べてしまったということのようだ。
すると「離為火」は、離れたのは人ではなく仕事なのだ。
すると他の卦もわかってくる。
相手「同人」が仕事をくれなかったので「困」となり、
儲けもないので「損」となり、「否」塞状態となっていた。
でも、最近、また注文をくれるようになり、
別に注文元をみつけたので、なんとかやっていけるようになったという。
良かった。
漢方は今回は、イライラに「抑肝散陳皮半夏」を、気分の変動に「甘草湯」を処方して終わりとした。
コメント
●「雷火豊」は、豊か、豊富、金持ち、賑やかなどの意味がある。
●臨床で一番多く出るのは「お菓子」としての意味だ。お菓子は豊かさの象徴かもしれない。
●この場合のように、「算木の易」と「PTM」易を組み合わせて問題を探ることもある。算木の場合は本質的な事はわかるが、その周辺の事情をみるときはさらにPTMで易を見る。