「山火賁」症例2:50代男性

”また怒ってしまった”

最近は1月ごとに来てくれている。
2年前に交通事故にあったときに初めて来られて
半年ほど通院。その後来なくなっていた。
また3月前から来院。
首コリ肩コリがひどいという。
漢方で徐々に良くなっている。
今回は花粉がきつくて、
また肩こりが酷くなったという。

横になってもらって診察する。
足には緊張感がある。
胃の経絡が突っ張っているので食べ過ぎを疑う。
腹は、やはり膨満傾向にある。
油臭い。
「中華が多くないですか?」と聞いてみた。
  「王将に良く行く」と言う。
肝臓にも脂肪が溜まっているようにおもえる。
脂肪肝だ。
更に、太淵に鍉鍼を当ててみていくと、
左肩が重たいのがわかる。
喉も詰まる感じがある。
誰かに後ろから首を締められている感じだ。
この方は以前からこのような感覚が多かった。
「また、誰かに恨まれていませんか?」と聞いてみた。
  「そんなこと無いです」と答える。

そこで起きてもらって、投げ算木で易を組み立ててみた。
問は「この方の問題は?」と聞いてみた。
すると「山火賁」が出る。
「山火賁」は”飾る”意味で取ることがおおいが、私の臨床では”怒り”
と見ることが最多だ。
「また、怒ったんじゃないですか?」
  「バレましたか。昨日、仕事で下の子に怒った。」
怒ると、下のものはその時は反抗しなくても、影で恨む。
そのエネルギーが後ろから来て首を絞めている。
以前の交通事故も人から買った恨みの影響があったのに、
何回やっても、わかっておられない。
困った人だとおもいながらも、なるべく怒らないようにと、忠告した。
漢方は怒りに対する抑肝散陳皮半夏を処方して終わりにした。

コメント

●「山火賁」は飾り、修飾、外見、見栄え、などを意味する。

●私の臨床では怒り、憤慨、などで出ることが多い。「賁」は「噴」や「憤」に通じるからだ。また、山の下に火がある象なので火山が噴出しそうなイメージだ、つまり怒りにつながる。

●怒りがあると、大抵は相手からも怒りの応答があり、怒りや恨みをもらいやすい。すると、思わぬ事故にあったりするので要注意だ。