”上からの多すぎる要求”
最近は月に1回程度来られるようになった。
去年は頭痛は減っていたのだが、
今年になりクスリをのむ量が増えている。
仕事が忙しくてストレスがおおいという。
天気が悪いと頭痛がひどい。
片頭痛の特徴なので、トリプタンを処方している。
今回も頭痛がおおいと言われる。
何がストレスかと聞くと、
最近、勤めている店を任されたらしい。
前の店長が辞めて、そのかわりに店長になった。
責任が大きくて忙しいと言う。
横になって診察する。
足は緊張している。
胃経のながれがわるい。
腹は、かるくガスが溜まっている。
胸脇苦満が少しある。
太淵に接触鍼をしてみてみると、頭がボーっとしている。
気の流れがスムーズでない。
ストレスがあるのはわかるのだが、単に忙しいだけなのか?
店長になったのなら昇進なので喜んでもいいのでは?
そこで起きてもらってPTMで易を見た。
問は「どのようなストレスか?」と聞いてみた。
すると「天水訟」「天沢履」「天火同人」
「沢風大過」「山沢損」「天風姤」などが反応する。
天水訟、天火同人は外卦(34,5,6爻)が反応した。
通常、内卦(1,2,3爻)は自分で、外卦(4,5,6爻)は相手と見る。
だから、他人からの訴え、要求がおおいようなイメージだ。
状況からして、今回は店の上司、オーナーだろう。
店長といえども上にはオーナーがいる。
「オーナーからの要求とか苦情とかないですか?」と、聞いてみた。
「それが多いんです。こまります。」と、答えられる。
沢風大過も外卦が反応するので、オーナーからの要望が多すぎるのだろう。
多すぎて、処理できないときにこの卦がでる。
卦辞では「棟木がたわむ」とあるように、潰れそうになっている。
そうしたら、のこりの「天風姤」「山沢損」は内卦が反応するので、自分を意味する。
天風姤は1陰の上に5陽が乗っているので、これも責任が肩に乗っているときによく出る卦だ。
山沢損は文字のどおりに、損害を被っているときに出る。
だから、この患者さんは店長になっても、責任ばかり多くて割に合わないと思っている。
ストレスの状況はわかった。
どうするかが問題だが、店を改装したばかりなので動けないだろう。
しばらく様子を見たほうがいいだろう。
漢方は、補中益気湯と抑肝散陳皮半夏を処方して終わりとした。
コメント
●「沢風大過」は、臨床では仕事が多過ぎる、期限をすぎるとかが出ることがある。
●この方の場合は、上からの要求が多すぎた。自分の立場でみると仕事が多過ぎるわけだが、かわりに「天風姤」が出た。この卦も”のしかかる重圧”という意味でとれる。
●卦の意味を考える時に、内卦は当方、外卦は相手と見ることが多い。これは易の常法だ。