”嫉妬でがんじがらめ”
初診の患者さん。
1月前から朝3-4時ごろに目が覚めるという。
夢もおおい。
ゾルピデムをのむと入眠はいいが、覚めるのは変わりない。
内科的には問題がないという。
婦人科で更年期に対してホルモン補充療法をやっている。
5年前に卵巣摘出術を受けたらしい。
横になってもらって診察する。
足はやや緊張、そして瘀血をみとめる。
腹にもおけつがある。
卵巣子宮の手術を受けたことがあるのでそれによるものだろう。
でも一番の問題点は、首がおもい
”うしろから何かに引っ張られている”ような感じを受ける。
このような感じは珍しい。
割とあるのは;首が絞められる感じのときは、他人の怒りとか恨みが入る。
何かが肩に乗っている感じのときは、世話をする人とか頼ってきている人がいる。
でも引っ張られるのはすくない。。。
「だれか頼ってきていますか?」と聞くと。
「母の介護をしているので、世話が大変。」と言う。
でも、気の流れがかわらないので母ではない。
それでは何か?あるいは誰か?
起きてもらってPTMで易をする。
易では「天風姤5項、天水訟5爻、沢雷隨5爻」などが反応。
また「天火同人と風火家人」が反応する。
同人と家人が同時に反応するときは、相手は「結婚してないパートナー」のことがおおい。
結婚している相手は「風火家人と雷沢帰妹」になる。
そうすると、「天水訟」なのでパートナーがなにか要求しているのか?
そこで聞いてみた「結婚していますか?」、いないと言う。
「それでは付き合っているのは誰かいませんか?」、いると言う。
(やっぱりパートナーだ。)
「パートナーは、なにかうるさくないですか?要求するとか、文句を言うとか?」
「最近うるさくて、私の行動にいちいち文句をいう。」
話を聞くと、どうもパートナーが嫉妬するらしい。
この患者さんは行動的で、人付き合いがいいので男性でも女性でも友だちが多い。
ところが、友達に会いに行くと、そのパートナーが文句を言うらしい。
すると「天風姤」のいみがわかった。
この男性は、自分は多くの男性の一人に過ぎないと思って嫉妬しているのだ。
嫉妬のエネルギーが首をロープで引っ張るように感じられたということだ。
「沢雷隨」は、たぶん男性のほうがおとなしいのでこの女性に従っている感じだろう。
男性はそれほど男らしくない人だろう。
さいきん、男性の嫉妬がひどくて言い争いになることもおおいという。
男女間の問題はさすがに、漢方ではいかんともし難いが、今回は怒りをなだめる「抑肝散陳皮半夏」を処方して終了とした。
コメント
●「天風姤」は出会い、遭遇、邂逅、などをいみする。
●「姤」は一陰が五陽の下にすべりこんでいるので、女性に男性が群がるイメージだ。また、悪女の場合は男性を手球にとる。
●この症例のように「嫉妬」に関して出たのは今回が初めてだ。
●「風火家人と雷沢帰妹」が同時に出たときは、相手は結婚している。「風火家人と天火同人」が同時に反応するときは、相手は結婚していない、と解釈できることが多い。