”見上げる父”
1年前に罹患したコロナの後遺症で苦しんでいると言って
来院された方。
コロナになって、2週間会社を休んだという。
当時、入院するほどではなかったが、
その後から、ふらつき、頭痛、うつ状態になり、食欲不振が続くという。
心療内科ではドグマチールなどの抗うつ剤が処方されている。
コロナの後遺症としては呼吸器症状がないので、本当にそうかどうか疑問がある。
最初の診察のときは、肝虚が目立ったので黄耆建中湯などを処方した。
ついで、3週間後に来院された。
「どうですか?」と聞くと。
「食欲は出てきたけど、さっぱりしない。」という。
ふらつき。不眠。やる気が出ない。などの症状は変わらないと仰る。
そこで横になって診察する。
足は、まだ肝経の虚が目立つ。
腰も左側が流れが悪くて良くなさそうだ。
左の背中のながれもわるい。
こわばりも感じる。
胃の部分は腹診でわりと充実してきている。
食欲はでてきてそれなりに食べれているようだ。
でも、頭はまだボーッとして重い。
今回は「何が一番問題なのだろうか?」と思いながら
座ってもらってPTMで易を見てみた。
すると、風火家人5爻、天水訟5爻、地山謙5爻と
風地観3爻、水山蹇3爻などが反応する。
これからわかることは、、、
「家人」なので家族や親族に、「訟」のような訴えや文句、要求を言う人がいるのではないだろうか?
そこで聞いてみた「家族や親戚にうるさい人はいませんか?」
「います、父です。」
「え~、お父さんですか?どうしてうるさいの?」
「父は社長で、僕はサラリーマンだから。。。」
彼からの話では、父はかなり大きな中小企業の社長でやり手のようだ。
彼は長男だが人付き合いが苦手なので、後継ぎからは外されているようだ。
弟があとを継ぐことに内定しているという。
父は彼にたいして小さいときから激励、要求、苦情を言っていたという。
未だに父には頭が上がらないという。
それであとの卦の意味もわかった。
「風地観」はこの人が父を見上げている様子を表す。
また、「地山謙」は父がこの方に対する尊敬がないこと。
同時に、父の圧迫でこの方は足が萎えている、それが「水山蹇」だ。
他にも「地水師」がでたので、父に対する怒りもあるようだ。
今回は、怒りを鎮める「抑肝散陳皮半夏」を処方した。
怒りをおさめて、冷静に判断して対処することが必要だ。
コメント
●風地観は、見る、眺める、など、それに精神的な意味合いもでてくる。
●卦の形から、鳥居、門、墓などの意味にもとれることがある。
●今回は「大きな父を見上げる」といういみで「観」がでた。
●コロナの後遺症といっていろいろな症状の方が来るが、コロナとは関係ないことが割とある。