「雷山小過」症例2:40代女性

”お菓子の誘惑少々過ぎる”

 上のお子さんのお母さん。
前回は、腰痛がある、冬になると手が冷えるというのが主訴。
漢方は、附子理中湯と酸棗仁湯を処方した。
今回、2週間後に再診のときには、冷えはかなり改善、腰痛もいい、
かつ変な夢を見なくなりよく眠れるようになったと報告してくれた。
でも新たに、目の周りが痒くなる症状が出てきたという。
このような症状は以前から冬になると時々出るらしい。

 そこで横になってもらって診察した。
足は、やや乾燥。冷えがる。足の裏にはむくみがある。
腹は、かるく張っている。ガスが多そうだ。
胃の当たりに食べ過ぎの脂肪が付いている。
このあたりに付くのは”お菓子”の食べすぎが多い。
全体の気のながれを見ると。
確かに顔の皮膚がよくない。
目の周りに痒みがある。
それと同時にノボセもある。

 痒みはアレルギー反応だろうか?
花粉にしては鼻と喉の症状がないのが変だ。
起きてもらって、椅子に座ってもらいPTM易で「何が問題か?」と聞いてみた。
すると、「雷火豊」と「雷山小過」が反応。
「雷火豊」は、豊か、豊富、豊満、などを意味する。
「雷山小過」は上に書いたように、少しオーバーな状態を示す。
この2つがでると、私の臨床では、ほとんどが”甘いものの食べすぎ”だ。
「雷火豊」がどうして”甘いもの”に対応するかわからない。
でも経験則ではそうだ。そこで聞いてみた。
「お母さんは、最近、お菓子の食べ過ぎでないですか?」
  「え~、そうです。バレましたか。」
子供のまえで、お菓子の食べ過ぎを指摘されたので、きまり悪そうだった。
お菓子が多いと、肌の艶がなくなる。
アレルギー傾向のあるひとでは、皮膚がカサカサして荒れやすくなる。
だから、お母さんには、お菓子の食べ過ぎを控えるように言って、
PTMで「補中益気湯」を選んで、処方して今回は終了とした。

コメント

●「雷山小過」は、少し過ぎる、少しオーバー、少し荷が重い、などを意味する。多くは上のように他の卦と組で出る。典型的には上のように”食べすぎ”の時にでることが多い。他には「新しい仕事が自分にとって荷が重い」、「ストレスがすこしオーバー」などの時にでた。似た卦の「沢風大過」は「雷山小過」に比べて、”行き過ぎ”の程度がひどくなる。

●「雷火豊」が”甘いもの”を示すのは臨床的な経験則だ。あえて解釈すると、”甘いもの”は豊かさを象徴する。現在ではコンビニなどで普通に甘いものが手に入るが、昭和年代でも今ほど簡単に甘いものが手に入ったわけではなかった。”甘いもの=豊か”といえる国が世界ではまだまだ沢山ある。

●甘いもの、お菓子をたくさん食べると皮膚に良くない。特にアトピーがある人では要注意だ。アトピーの悪化と、甘いものをたくさん食べたことが関係するのはよく経験する。

●補中益気湯は便利な薬で、アレルギー反応を抑制する効果がある。柴胡清肝湯とよく似ているが、補中益気湯の方が使いやすい。もちろんPTMで選べば確実だろう。