「兌為沢」症例3:10代女性

”腹が立つと食べてしまう”

半年まえに頭痛で来た人が再診。
今回も1月前から頭痛がふえたという。
めまいも時々ある。
全体的に体がだるい、学校にも行くのも億劫だ。
顔のニキビがひどいので皮膚科にかかっている。
飲み薬と塗り薬がでている。
確かに、みると顔の皮膚が荒れている。
以前より横幅が大きくなり体重が増えていそうだ。
食べすぎると、皮膚が悪くなりやすい。
特にお菓子が皮膚に悪影響をあたえる。

横になって見せていただく。
足はムクミがあり、瘀血もある。
下半身が重たそうだ。
腹には軽い腎虚がある。
全体的に膨満。
胃の上あたりに脂肪がついている。
これはお菓子を食べる人にでる所見だ。
肝臓のあたりも鬱滞しておもたい。
やっぱり食べ過ぎを疑う。
「お菓子とか食べませんか?」
  「うん、食べます。」
「多い?」
  「そうでもないけど、皆と同じ程度。」
さらに見ていくと、気の流れがわるい。
なにかスッキリしないものを感じる。
単なる食べ過ぎではなさそうだ。

起きてもらってPTM易を行った。
問は「この方の問題点は?」とした。
すると、「天水訟」「山風蠱」「風火家人」「兌為沢」が反応した。
天水訟は、苦情、文句、要求があるときに出る。
風火家人は、家族、身内だ。
身内の人に文句があると思われる。
「だれか家族で、文句をいいたい人はいませんか?」
  「お兄ちゃんにムカついている。」
山風蠱なので、汚い感じがある。
「お兄ちゃんは、掃除とかしない?片付けない人?」
  「全然、しない。やりっぱなしで汚い。でも、お母さんは何も言わない。」
どうも、母は兄に対して甘いようだ。
兄は何もしないので、しわ寄せはこの患者さんにくる。
だから腹が立つ。
兌為沢は、口が2つなので、よく食べることを意味する。
家庭のストレスで、食べることでストレスを解消しようとしているのだろう。
「腹が立ったら、食べませんか?」
  「無性に食べたくなります。食べたらホッとします。」
お菓子だけではない、手当たり次第にたべている。
ストレスが引き金になっている。
漢方は、ストレスに対して抑肝散陳皮半夏などを処方して終わりにした。

コメント

●「兌為沢」は、喜び、よく食べる、よく喋る、などで臨床では出ることが多い。

●女性はストレスがあると食べること、喋ることでストレスを発散することがある。
「兌」は口であり少女の象でもある。兌が2つ重なった兌為沢は口の意味と少女の意味を更に強める。