フォトタッチメソッド(以下PTM)とは、簡単に言うと、患者さんに漢方など薬の写真を触ってもらって、そのときの患者さんの「気の反応」でその薬の適否を判断する方法のことです。
フォトタッチメソッド(Photo Touch Method: PTM)とは
以下で具体的に説明します。
漢方を例にすると、患者さんの指を私の指で持って漢方の写真に誘導して触ってもらいます。すると、患者さんに合っている漢方なら、“何となくいい感覚”が「気」の変化としておこります。合っていない漢方なら、何も変化がないか、気持ち悪い感覚がおこったりします。そのような感覚を医師が感じ取って判断します。
慣れてくると、瞬時に判断できるので、多数の薬をしらべるのに時間がかかりません。また、面白いことに敏感な患者さんだと、医師と同時に同じ感覚を感じることができるので、患者さんが納得した上で処方をすることができます。更に便利なのは、「フォト」と言うぐらいですから最初は写真でやっていましたが、やり慣れると書かれている文字でもわかるようになります。
この方法を使うと、西洋薬を始め、漢方、ハーブ、サプリ、ホメオパシー、フラワーレメディー、食材、パワーストーン、色などほぼあらゆる物を診断できます。
他に怪しい診断法で「O-リングテスト」がありますが、それより簡便で速く患者さんに負担をかけずに、診断できます。一番いいポイントは、患者さんと医師が気のレベルで一体化しているので、気の反応を患者さん自身が感じることができることです。だから、これで選んだ治療薬は独善的な治療になりません。患者さん主体の治療になります。つまり、この方法は全人的治療に繋がるのです。
PTMのメリットをまとめると、次のようになります。
- 写真、文字、図形、記号、実物、などでできる。
- 簡便でスピードが速い。
- 患者自体が感じることができる、独善に陥らない。
- 全人的治療につながる。
色々やってみると、面白いことに約3割の人は写真を触ることにより何らかの感覚の変化を報告してくれます。特に、治療者が「今、足が暖かく感じませんか。」などと内部感覚に誘導すると、多くの人で同様の気の変化を感じ取ることができます。だから人が気を感じるということは決して特殊な能力ではなくて、非常に一般的なことであるということがわかってきました。
PTMは診断のみならず、気の感覚の訓練にもなります。熟達すると、この世の中のすべての物や事象がつながっていることがわかってきます。極めつけはPTMで「易」をやることですが、これを「PTM易」と名付けました。
PTMについてアマゾンでPOD出版しました。『証を超えた漢方治療を目指して。フォトタッチメソッドによる「気」の医学への招待』です。
【目次】
◆第一章 フォトタッチメソッド(PTM)とは
◆第二章 「証」とはなにか
◆第三章 PTMの具体的なやり方
◆第四章 「気」を使ったほかの診断方法との違い
◆第五章 フォトタッチメソッドを開発するまで
◆第六章 PTMからみた処方解説
◆第七章 発展としての「立体的統合医療(治療)」
◆第八章 「証」を超えるということ
PTMを開発したきっかけ
私は鍼灸から東洋医学に入ったので、診断に気の感覚を大切にすることを最初から意識していました。いろいろな先生方に教えを受けて、漢方薬をもたせて変化を見る方法や、「O‐リングテスト」や「入江フィンガーテスト」などを試みました。しかし、どれもなんとなくいいという程度で“これは”というものはありませんでした。漢方の袋を持たせるのは手間がかかります。O‐リングテストは怪しい医者と思われます。入江フィンガーテストもわかったりわからなかったりします。また、「O-リング」も「入江」も適・不適はわかりますが、患者さんの気の流れが直接わかるものではありません。
そこで、いろいろ模索して、2012年5月のゴールデンウイークに、そのころ興味を持っていたバッチフラワーレメディの花の写真をインターネットからダウンロードしてプリントアウトしました。そして何気なくレメディの花の写真をクリニックの看護師さんに触ってもらいました。すると、その人にあったレメディがなんとなくわかるような気がしたのです。その人に合っているレメディだとスーッとする感覚を相手が感じ、同時に私も感じるのです。これは面白いと思って、漢方薬でも同様のことができないかと思い、ツムラのすべての保険漢方をデジカメで撮って、プリントアウトして、パネルを使って、患者さんに写真を触ってもらうことを始めました。これがPTMの始まりです。
最初の頃は、右手でどの写真を触るか患者さんに指示してその写真を触ってもらい、左手は患者さんの膝に触れてPTMを行っていました。患者さんの体のどこかに接触していると気の流れがよくわかるからです。半年ぐらいやってみると多くの患者さんが気の感覚があるのに驚きました。約3分の1の人が何らかの感覚を感じます。こんな単純なことだけど誰もやっていないようなので論文にしようと思って書いたのが「「漢方敏感人」の研究」(『漢方の臨床』61巻7号2014年)です。
当初は、左手を患者さんの膝に接触していましたが、最終的には私の左手で患者さんの人差し指をもって写真の上をどんどん滑らせてタッチしていく現在の方法になりました。この方法だと、躊躇なくスムーズに進むので患者さんの余分な想念が入りにくく、また短時間で診断できるようになりました。