「 天水訟」症例3:60代女性

”うるさい階下の人”

いつも来てくれる方。
今回は胃が少し重たいという。
食欲が低下している。
今年の夏は暑いので、たべれないらしい。
夏バテが入っているのかもしれない。

横になってもらい見せていただく。
足は、胃経に虚がある。
食べれないのがわかる。
脾経はわるくないので、一時的な問題のような気がする。
足首から下の冷えもある。
クーラーがすこしキツイのかもしれない。
腹は、それほど虚ではない。
でも、胃の動きはわるい。
水は十分に取っている感じをうける。
さらに見ていくと、首が重たい。
意識を集中してエネルギーを見ていくと、
右の下あたりから少し重たいエネルギーが来ているのがわかる。
これは何だろうか?
下から来るのは土地の問題、動物、植物に関してのことなどが多い。
そこで聞いてみた。
「ペットを飼っていますか?」
  「いいえ。」
「なにか、家の敷地で問題とかないですか?植物とか植木とか?」
  「ありません。」
「一戸建ですか?」
  「マンションです」
マンションなら土地はあまり関係なさそうだ。
それでは何が問題なのか?

起きてもらって、PTMで易に聞いてみた。
「この下からくる重たいエネルギーは何ですか?」
すると、「天火同人」「天水訟」が反応した。
天火同人の3爻なので、生きている人だ。
死んでいる人なら初爻の下で反応する。
天水訟は文句、苦情、要求などの意味と取る。
すると、誰かが文句や苦情を言っているのだろう。
それが、下から来るということは、もしかしてマンションの下の階の人ではないだろうか?
そこで聞いてみた。
「マンションの何階ですか?」
  「4階です」
「下の階の人でうるさい人はいませんか?」
  「いるいる、います。2階のひとがクレームが多い人で、管理人が迷惑しています。」
  「私も、なるべく顔をあわさないようにしています。」
なるほど、これで重たいエネルギーの原因はわかった。
その階下の人はマンション全体の問題児となっているようだ。
患者さん自身と直接もめているわけではないので、しばらく様子を見てもいいだろう。
漢方は、夏バテにたいして清暑益気湯を処方して終了とした。

コメント

●「天水訟」は訴え、苦情、要求、文句などを意味する。臨床では頻出する卦だ。

●患者さんの気の空間で一番下の方から来るものは、土地や動物、植物などが多い。
死んだ人で土地に残っている人は、さらに下の地中からくる感じがする。
この方の場合は、マンション住まいだったので、下の階だった。
状況によって判断しないといけない。

●気の空間内でエネルギーが入ってくる方向をみて、何からエネルギーがくるのかがわかる。
例えば、正面真上から来る時は神様だし、右上から来る時はご先祖だ。
そのほか空間内の方向と距離などでエネルギーの由来を識別できる。