”豊かな家庭”
頭痛があると言ってこられた。
口コミでの紹介。
半年前から頭痛がある。
締め付けられるような頭痛で毎日いたい。
しかし、仕事ができないわけでもない。
うるさい音があると頭痛がひどくなる。
左目の下がときどきピクピク痙攣することもある。
念の為にCTを撮影したが特に異常はない。
もともと頭痛持ちでないので片頭痛でもなさそうだ。
横になってもらって診察する。
足は緊張があり肝経の突っ張りがある。
ストレスがあるように思う。
腹にもすこし胸脇苦満をみとめる。
さらに、鍉鍼を太淵にあてて意識を集中すると、
喉のつまり感や、頭の重たいのがわかる。
左の肩に嫌なエネルギーが来ている。
これはなにか?
多くの場合は人間のエネルギーの事が多いが、
輪郭がそれほどはっきりしないので、個人の人間でなさそうだ。
「誰か嫌な人がいますか?」と聞くと。
「とくに、いないです。」と言われる。
人間でないと、それではなにか?
よくわからない。
会社などの組織のこともあるし、集団のこともある。
起きてもらってPTMで易をみてみた。
「何の影響をもらっているのか?」と聞いてみた。
すると「天火同人」「天水訟」「山火賁」「山沢損」「沢水困」
「風火家人」「雷火豊」などが反応した。
たくさん反応したのでそれが何をあらわすか検討しないといけない。
通常は「同人」は知人や仕事場の人を意味する。
ここからスタートして検討していく。
「同人」と「訟」、「賁」はPTMでつながりが強いのがわかる。
これはPTMで指を同時にこれらの卦に当ててみる気の感覚でわかる。
「訟」は要求、苦情、文句と見る。
「賁」は通常”飾る”ことを意味するが、臨床では”怒り”と見ることが多い。
すると、職場の人がうるさい、要求している、怒っていると推測する。
そこで聞いてみた「職場でだれが怒っている、うるさい?」
「最近騒々しくて、怒鳴り声が聞こえる。」
「あなたが怒鳴られているのではないでしょ?」
「僕じゃない。社長やみんながイライラいしている。」
すると、「損」と「困」も予想がつく。これらの卦も同人とつながるので、
たぶん会社の売上が落ちて、困っているのだろう。
だから、みんながイライラして焦っている。
この方はうるさい音が苦手なので、それがキツイく響く。
残りの「家人」と「豊」はどう解釈するか?
これはこの人を意味すると見た。
「家人」なので、この患者さんは”家庭的”な人なのだろう。
そして「豊」なので、あくせくせずともやっていける、”裕福”な”家庭”の人だろうと予想した。
「ひょっとして、家はお金持ちでない?
だから今のような騒がしい職場は合わないのじゃない?」
「あま、そうです。」
そのようだ。
この方にとって今の職場はあっていない。
もっとゆったりしたところで働いたほうがいいだろう。
まだ若いのだし、転職のことも考えたらいいだろう。
そのようにアドバイスして、漢方は補中益気湯を処方した。
コメント
●「風火家人」は臨床で特にたくさん出る卦だ。家庭の人間関係がいろいろ症状に関係するからだ。家庭、家族、親族、身内などをこの卦は示す。
●「風火家人」の初爻の下でPTMで反応が出ることがあるが、そのときは死んだ身内を意味する。
●「風火家人」+「雷沢帰妹」が同時に反応すると配偶者のことが多い。兄弟姉妹のこともある。
●「風火家人」に対するのは「天火同人」だ。これは他人、知人、職場の人、つまり身内以外の人をあらわす。この卦も臨床では頻出する。