「風山漸」症例3:30代男性

”仕事が遅い”

半年前から胃腸の調子が悪いと行ってこられた。
よく下痢をする。
腹が張ってゲップもでる。
夜中に腹痛で目が覚めるという。
消化器内科にいったが良くならない。
胃カメラで軽度の慢性胃炎のみ。
ビオフェルミンを処方されたが効かない。

横になって見せていただく。
足は、かかと、膝などの関節がすべて硬い。
胃の経絡が突っ張っている。
これは典型的な食べ過ぎだ。
更に、腹をみると、膨満がある。
胃の停滞がある。
肝臓は腫れていて脂肪肝だ。
胃腸の問題は食べ過ぎを減らせば、自然とよくなるだろう。
「これは、食べ過ぎですよ。脂っこいものが好きでないですか?」
  「はい。好きです。」
「お肉は多くないですか?」
  「毎日食べます。」
「肉は減らしてくださいね。そうしたら、胃腸はすぐに良くなりますよ。」
  「はい。」
と、行った瞬間に、気が流れ始めた。
あるていど、重たいのはとれた。
でも、半分ていど停滞がのこっている。
おそらく別に原因があるのだろう。
そこでさらにみていくと、
頭ががおもたい感じがする。
なにか、別の人からエネルギーをもらっている可能性がある。

そこで起きもらってPTM易で見てみた。
問は「流れが重い原因は?」としてみた。
すると、「天水訟」「天火同人」「山火賁」「雷天大壮」「風山漸」などがでた。
天火同人は、身内以外の人だ。
天水訟は、なにか文句や苦情があること。
山火賁は、怒があること。
雷天大壮は、口やかましいこと。などを意味する。
そのような人が周りにいそうだ。
「誰か、口やかましくてうるさい人で、怒っているような人がいませんか?」
  「います。お客さんで、うるさいのがいます。」
「何で怒っているんですか?」
  「うちの仕事が遅いと言って怒っています。本当は、向こうが前もって準備をしっかりしてくれていなかったからで。怒る筋合いはないんですが。」
患者さんの口ぶりにも怒りがこもる。
なんだか、お互い怒っているようだ。
これで、風山漸の意味がわかった。
風山漸は、ゆっくり進むという意味なので、仕事の進捗が悪いことを意味している。
漢方は、五積散と抑肝散を処方して終わりとした。

コメント

●「風山漸」は、ゆっくり進む、徐行、だんだん、徐々に、順を踏んで進むという意味がある。
●進みが速いのは「火地晋」「地風升」などがある。
進みが遅いのは「風山漸」で、
進まないのは「水山蹇」「坎為水」「沢水困」などがある。