「雷山小過」症例1:10才女性

”お肉食べるは少なめに”

 前回は、腹痛があるといって母に連れられて来た小学校4年生の女の子。
その時は、下腹の張りがあり、PTMで浣腸が反応したので、浣腸を勧めた。
その後、2週間後に再診。
前回の腹痛は浣腸で便が出たので良くなったという。
でも、便秘傾向はつづいている。
今回は、立ちくらみがある、朝に起きれないという主訴。
これらは前からある症状らしい。

 横になってもらって、診察する。
足は乾燥している。筋肉が細くて虚。
冷えもある。
腹は全体的に筋肉が薄くてやはり虚。
消化器の能力が弱い感じをうける。
かつ、肝臓の上で肝虚もある。
復力がよわいと便を出す力がないので便秘になりやすい。
喉も乾燥している。
顔の皮膚も乾燥している。
気の流れも全体的に弱い印象だ。

 起きてもらって、椅子に座ってもらいPTM易をした。
問は「この方の問題点は?」とした。
すると、「風天小畜」と「雷山小過」が反応。
「風天小畜」は、小さく蓄える、小さく止める、などの意味がある。
「雷山小過」は、少し過ぎる、少し越える、少しオーバー、などの意味がある。
でも、私の臨床ではこの2つの卦が同時に出た時は、ほとんどが”肉の食べすぎ”の事が多い。
特に「小畜」=小さな家畜(チキンと豚肉)を、「小過」=すこし食べ過ぎた、人にでやすい。
そこで、聞いてみた。
「最近、トリかブタを食べていませんか?」と。代わりにお母さんが答えてくれた。
  「そう、この3日間、毎日チキンを食べていました。」
やっぱりそうだった。肉の食べ過ぎだ。
この子のお腹には、肉はあまりよくない。
和食系統の食事がいいだろう。
その旨、お母さんに言って、漢方をPTMで選んだ。
 漢方は「小建中湯」と「附子理中湯」が反応。
この2つを、処方して、今回は終了とした。

コメント

●「雷山小過」は、少し過ぎる、少しオーバー、少し荷が重い、などを意味する。多くは上のように他の卦と組で出る。典型的には上のように”食べすぎ”の時にでることが多い。他には「新しい仕事が自分にとって荷が重い」、「ストレスがすこしオーバー」などの時にでた。似た卦の「沢風大過」は「雷山小過」に比べて、”行き過ぎ”の程度がひどくなる。

●「風天小畜」が”小さな家畜”=トリまたはブタ、に対応するのは文字どおり解釈できる。同様に「山天大畜」は”大きな家畜”=ウシで、臨床では”牛肉”を示すことが多い。