「雷地豫」症例3:30代男性

”誘われたら断れない”

時々来てくれる方。
今回は理由がわからないがシンドいという。
食欲がなく、いつものように食べれない。
暑いので夏バテなのか?
水分はたくさんとっている。
仕事はいつものように忙しい。
お盆はそれなりに休養をとれたらしい。
会社のストレスは以前ほど多くない。

横になって見せていただく。
脚はむくみがある。瘀血もある。
熱がこもって熱い感じがある。
腹は、さわると食べ過ぎぎみだ。
食欲がないと言いながら食べている。
夏バテではない。
肝臓も張り気味で、熱をもっている。
内熱があり火照っている。
のぼせもある。
上半身に汗がおおい。
食べすぎて体が重くなってシンドいのではないだろうか?

起きてもらってPTMで易を見てみた。
問は「シンドい原因は?」とした。
すると、「風天小畜」、「天火同人」、「雷地豫」、「雷天大壮」などが反応する。
小畜は小さな動物のことで、鶏や豚の肉が臨床では問題となりやすい。
大壮はたくさん食べる人でよくでる卦だ。
この2つの卦で食べる肉が多いのではないかと疑った。
「食欲がないと言いながら、肉とか多くない?」
  「そんなことないです。妻は野菜料理中心です。」
どうもおかしい。卦と合わない。
次に、雷地豫と天火同人を同時に触ると反応が強くなる。
雷地豫は楽しみ、歓楽、喜びを意味する。
同人は誰か家族以外の人だ。
だから、誰かと楽しいことをしているはずだ。
その時に肉を食べることもあるだろう。
「誰かと、食べに行く機会とか多くないですか?」
  「そうですね。実は転勤になるので、この1ヶ月飲み会によく誘われます。」
これで理由がわかった。
この方は付き合いが広いので、転勤になるので各方面から誘われているようだ。
そうすると、当然食べる量がふえる。肉も多くなる。
それが原因だ。
胃腸が弱く食欲低下があるのではなく、食べ過ぎてもうこれ以上食べれなくなっている。
それを患者さんは”食欲低下”と言っている。
患者さんには、宴会のときにはすこし量を減らすこと。
とくに肉類を減らすことをアドバイスした。
漢方は胃苓湯を処方して終わりとした。

コメント

●「雷地豫」は、娯楽、喜び、準備、春、などを表す。臨床で出るのは、おおくは楽しみすぎて悪くなっているときだ。

●この患者さんは、食べれなくて食欲がないのではなく、食べすぎて食欲がなくなっている。患者さんが訴える症状から単純に原因を引き出すと間違うことがある。このような時にも本当の原因を探るのに易は役に立つ。。