「雷地豫」症例2:40代男性

”次の仕事が待っている”

1年ぶりの来院。
今回は、胃腸の調子が悪くときどき嘔気がある、
頭痛もあり、ぐっすり寝れないと言う。
いつも4時頃に目が覚める、
疲れが取れないという。
ストレスがあるか?と聞いたら。
1週間前に大きな仕事が終わって今はないという。
それなら、寝れない原因は何なのか?

横になってもらい、診察する。
足には緊張がある。
やや疲れ気味でエネルギーの低下がある。
腹は、食べれているが胃の中がたまりぎみ。
胸脇苦満はわずかのみ。
鍉鍼を当てて意識を集中すると、
首が重たいのがわかる。
考えることがおおいのだろう。
首の後ろ左の肩がおもたい。
さらに良く見てみると、
なにか重たい仕事がのっているように思える。
「仕事が重たいんじゃない?終わったんですか?」
  「今休み中で、1週間後からまた仕事があります。」
「何をやっているんですか?」
  「エレベータの整備を自分でやっています。」
「自営ですか?流行っている?」
  「自分で。4月先まで予定が埋まっている。」
それでは忙しいだろう。
自営業なので仕方ないと言えば仕方ない。
でも、それで寝れないほどのストレスになるのだろうか?

起きてもらって、もうすこし易で原因をきいてみた。
「症状の身体の奥の原因はなにか?」と問いを立てた。
すると、「天水訟」「天火同人」
「雷地豫」「風火家人」「火山旅」などが反応した。
天水訟と天火同人は、たぶん得意先からの注文だろう。
仕事の注文がおおいことを意味する。
これはこれで悪くない。
雷地豫はなにか?普通、”楽しみ、享楽、娯楽”などを意味する。
仕事が嫌いなのだろうか?
「仕事が嫌いですか?遊ぶのが好き?」
  「そんな事はないです。仕事は熱心にやっている。」
それでは何が問題なのか?
「雷地豫」+「風火家人」の2つで反応がつよくなるので、さらに考えてみた。
「家族と遊ぶのが好き?よく遊びますか?」
  「そうなんです、子供がサッカーをするのを見に行ったり、日帰りで旅行に行ったりするのが好きです。」
「それなら、家族と過ごす時間がないんじゃない?」
  「そうなんです。」
それで、原因はわかった。
忙しすぎて子供や家族と過ごす時間が取れないのが、この方のストレスの原因となっている。
「火山旅」はこの方の仕事で移動がおおいことを意味している。
他府県まで幅広く注文が来るという。

今回は、疲れに対して補中益気湯と当帰建中湯を処方して終了とした。

コメント

●「雷地豫」は喜び、楽しみ、娯楽、悦楽、などを意味する。

●悪い側面では、遊びすぎ、怠惰、享楽などで出る。

●「雷地豫」は坤の地中から震の若木が伸び出た象なので、春や、子供も意味する。更に考えると子どもと遊ぶのがこの方は好きなのだと納得できた。