”「動かざること山のごとし」では部下が迷惑”
1年ぶりに来てくれた。
今回は、腹痛と頭痛があると言って。
2週間前に下腹の痛みがあった、しばらくしてそれが上に移動して胃の当たりに違和感を感じる。
食欲はあり便も問題ないので、内科は行っておられない。
月経とかも問題なく、婦人科もこの10年はいってない。
2ヶ月前の職場の検診でも異常を指摘されていない。
頭痛も、最近、仕事が忙しいのか多くなっている。
特に薬は飲んでいない。
問診では有用な情報がなかったので、横になってもらって診察する。
足は乾燥があり、気の流れが弱く疲れもある。
脾経のおくに瘀血もありそうだ。
腹は、下腹に少し塊のようなものを触る。
腸のガスではない。
子宮筋腫のように感じるが、卵巣嚢腫の可能性もある。
これは、婦人科に任せたほうがよさそうだ。
患者さんには婦人科を受診するように伝える。
胃と肝臓はやや虚をやどす。やはり疲れがあるのだろう。
聞くと、仕事がとても忙しいという。
気の流れも弱く停滞している。
忙しさだけでなく、別に何かあるのではないかと、感じた。
そこで、起きて座ってもらいPTM易を行った。
問は「気の流れのわるい原因は?」とした。
すると、「天火同人4爻」、「艮為山4爻」が反応した。
「天火同人」は以前にも書いたように、同僚、仲間、を意味する。
4爻なので、上司の問題だろう。それも直属の上司が可能性として上がる。
患者さんに聞いてみる「上司が問題でないですか?」。
すると、「最近、仕事が忙しくて、上司からのプレッシャーが強い」とおっしゃる。
プレッシャーとはなにか?仕事の量だろうか?納期だろうか?それも、ハラスメントか?
諸々の可能性があるので、更に聞く。
特に「艮為山」は4爻が出ているので、この上司の特徴だと考えた。
「艮為山」は山が2つあるので、どっしりしている、重たい、動かない、止まる、止めるなどの意味が出てくる。
そこで、色々聞いてみた。
まず「艮為山」からイメージして「山のように大きな人」ですかと聞いてみた。
「違う」とおっしゃる。
つぎに「どっしりして、動かない人ですか?」と聞いてみた。
「ゴソゴソしてよく動く人」だという、これも違う。
さらに「みんなが進むのを妨害する(止める)人ですか?」と聞いてみた。
「そんなこともない」と言う。これも違う。
そこで「意見を変えない、頑固な人ですか?」と聞いてみた。
すると「そうなんです、全く、頑固で、一旦言ったことはかえない」
「今回も仕事がはかどるような提案をしても、いままで通りのやりかたがいいと言って、かえてれない。」「仕事の効率がわるくて、部下が困っている」とおっしゃった。
「艮為山」は精神的に”動かない、融通のきかない”人を意味したのだとわかった。
漢方は、PTMで頭痛やストレス、考えすぎに効く「釣藤散」をえらんで、終了とした。
コメント
●「艮為山」は「艮」の重卦なので、「艮」の意味が強調されて出てくる。止まる、止める、動かない、動じない、偏屈、頑固などの意味がある。私の臨床ではあまり遭遇しない卦だ。
●前にも書いたように、内卦は自分で、外卦は相手(会社では上役のことが多い)とみる。今回は4爻だったので直属の上司とみた。さらに「天火同人」で4爻、かつ「艮為山」でも4爻だったので、これは同一の人を表すものとみた。だから、「艮為山」の象意を順に患者さんに聞いていった。
●漢方の「釣藤散」は一つのことを考えすぎて頭痛や肩こり、不眠がある人に使う。