「沢雷隨」:症例2:60代男性

”従うのは辛い”

毎月来ていただいている方。
今回はみると気が落ち込んでいる。
なんだか暗い。
どうしたのだろうか?
話では、季節柄忙しいとおっしゃる。
それと花粉があるという。
鼻水がでてくしゃみも時々。

横になってもらって診察する。
足は胃経と肝経の緊張がある。
疲れは言うほどでもない。
腹はガスで少しはっている。
胃は食べれているので体力は問題なさそうだ。
でも首が重い。
のども詰まる感じが伝わってくる。
忙しいだけでないだろう。
そこで聞いてみた。
「なにかストレスはありませんか?」
  「定年で辞めて再雇用になった。」
仕事環境は同じだという。仕事内容もほぼ同じだ。
でもどうしてストレスなのか?

起きてもらってPTMで易を見てみた。
「何が問題か?」と問いを立てた。
すると、「水雷屯」「天地否」「沢雷隨」などが反応する。
水雷屯は、”下積み、芽がでない、苦労”をいみする。
「なにか、下積みみたいな感じになったんですか?」
  「ええ、くだらない仕事がおおい。」
天地否は、陰陽の交流がなく、”否定的”な状況をいう。
「面白くないでしょう?」
  「そうですね、辞める人がほかにいて仕事はふえて、給料は安くなった。」
それはそうだろう、忙しくて給料が安いのなら面白くない。
沢雷隨は、”従う”ことをいみする。
「そしたら、別の人の言う事を聞かないと行けない?」
  「まあそうですね、言う通りにやらないといけなくなった。今までとは違う。」
正社員のときは自分で計画を立てて仕事をやっていたが、再雇用になってからそれはできない。正社員のひとの言うことをせざるをえなくなった。
それで、面白くなくクサっているのがわかる。
しかしここは我慢するしかないか。
今回は、漢方は補中益気湯と炙甘草湯を処方して終了とした。

コメント

●「沢雷隨」は従うこと、言う通りにすること、あとから付いていくことなどを意味する。臨床では喜んで従うより、我慢して従うケースが多い。

規則やルールに従うという意味で出ることもある。

●変わったところでは、祖父が亡くなって日頃信仰している阿弥陀如来にしたがって成仏したというのもあった。