「沢火革」症例3:50代女性

”虫が脱皮して溢れてくる”

月に1回程度来てくれる方。
今回は明け方に咳が出るという。
季節の変わり目で喘息が出てきたのかもしれない。
いつもこの季節は花粉が飛んでしんどいという。
でも、今年は特にひどい。
耳鼻科や呼吸器内科にはかかっていない。
必要な時は当院でアレルギーの薬を出している。

横になって見せていただく。
足には冷えがある。乾燥がある。
腹はややガスがおおい。
胸脇苦満もすこしある。
喉が乾燥してイガイガする。
やはり、アレルギーの症状と言っていい。
更に意識を集中してみていくと、
左の背中に下の方から重いエネルギーが入っている。
下の方は土地や土、動物、植物から来ることが多い。
以前、野良猫が家によく来ていたというので聞いてみた。
「野良猫は、最近出てきますか?」
  「いなくなりました。餌をやっていた方が入院したので、愛護団体が連れていきました。」すると、これは猫ではなさそうだ。
なんだろうか?

そこで、起きてもらってPTM易で聞いてみた。
問は「この下からくるエネルギーは何ですか?」としてみた。
すると、「山風蠱」「沢火革」「風沢中孚」が反応した。
山風蠱は、汚れている、腐敗、虫がわくなどの意味がある。
「虫とかはでてきませんか?それて汚れていない?」
  「先週、ゴキブリの子供が沢山でてきました。それで除虫剤を撒きました。」
「ゴキブリの子供?それだったら、卵を生んでいない?」
  「卵は見えないです。最近、小さなダンゴムシも家に上がってくる。」
「ダンゴムシ?そりゃ、家が汚れていないですか?」
  「最近ズボラで、コロコロでホコリをとっています。掃除機はしていないです。」
すると、他の卦の「沢火革」も「風沢中孚」も意味がわかってくる。
風沢中孚は、卵を意味する。この卦は真ん中に陰が2つあり上下を陽2つで挟んでいる。これは卵の象だ。
沢火革は変わること、卵から変わること「孵化」をいみする。特に「革」を脱いでかわると=脱皮になる。
虫が、卵からかえり、脱皮して大きくなって、そして山風蠱のように汚なくなって溢れてくる。そのような状況が浮かんでくる。
とうぜん、イエダニなどの細かな虫も沢山発生しているだろう。
するとアレルギー症状がきつくなる。
患者さんには、家には掃除機をかけて、ダニが発生しないように布団を干すなどするように伝えた。
漢方は小青竜湯を処方して終了とした。

コメント

●「沢火革」は、変革、改革、革命、改まる、などの意味がある。臨床ではそれほど出ない。

●「改革」なので、大きな変化である。今回の症例では、「革」を皮(革)ととって、脱皮とみた。脱皮も虫にとっては大きな変化だ。人も脱皮すると、一皮むけると、大きく変わる。

●「風沢中孚」は卵の意味ででることがおおい。61番「風沢中孚」の項を参照。