”会社豹変して我変わらず”
3年前に右の突発性難聴になり、その後から耳鳴が少し残っているということで1年前に来られた。
補腎剤の漢方をだして耳鳴はかなり改善した。
その後はいろいろな症状で、時々来てくれる。
今回は、ご本人は忙しくて来れないので、いつも来ている妹が代わりに、
本人の症状を報告してくれた。
妹が言うには、姉は2週間前から腕が痛くなって上がらなくなったという。
特に外傷もないらしい。整骨院にに行ったが良くならないという。
そこで一番大事なことをきいてみた。
「どちらの肩ですか？」
「え～、どっちかな？ちょっと待って」と、言ってスマホのLineを見ている。
「わからないわー、書いてない。」と、おっしゃっる。
「しゃーないな、他にどんな事書いてますか？」
「肩から腕がいたい。肘も痛い。上がりにくい。上の物を取ろうとすると痛くなる。」
「整形には行ってないでしょ？」
「病院には行ってないみたい。整骨院に行っている。」
整骨院にいっても良くならないらしい。
本人がいないので、診察は出来ない。でも、PTMでなら遠隔で漢方を選ぶことができる。
そこで、妹を代理人としてPTMで漢方を選んでみた。
やり方は、本人がいるときと全く同じで、代理人の指をつかってPTMを行う。
違うところは、遠くにいる本人を両人が意識してやることだ。
ツムラの漢方のパネルをつかって選んでいくと、「桂枝茯苓丸加薏苡仁」で左の肩が暖かくなる反応があった。代理人の人も同様の感覚を同時に感じる事ができる。
「どう、左肩が暖かくか感じませんか？」
「うん、なってきた。」
「悪いのは左の肩でない？」
「わからんわ」
左右はともかく、桂枝茯苓丸加薏苡仁はいいように思う。
でも、別に喉のつまり感が感じられる。これは桂枝茯苓丸加薏苡仁では取れない。
何か別に要因があるのか？ストレスとかあるかもしれない？
「妹は、ストレスがあると言っていませんでしたか？」
「うん、ある、ある。言っていた。」
そこで、問題点を見るためにPTM易で「この方の妹の問題点は？」と聞いてみた。これも同様に、代理人の指を使っておこなった。
すると「水山蹇4爻」と「沢火革4爻」が反応した。
「水山蹇」は、足止め、進めない、停滞、などを意味する。
なにが停滞なのか？姉にきいてもわからない。
4爻なので、患者さん（妹）ではなく、会社ではないかと推測する。
「会社の、経営がうまく行ってないとか言っていませんでしたか？」
「そういえば、そうかな？」（要領をえない、返事だ）
「コロナで売上がおちたとか？」
「そういえば、旅行業界でコロナの影響をうけていた。」
やはり、会社の売上の問題がある。
次の「沢火革」は何か？
この卦は、改革、変革、革命、などの意味がある。
この卦も4爻が反応したので、会社の問題ではないか？
すると、会社で改革が起こっている。とくに、コロナで業績不振があり、会社のなかで変革がおこっているのではないか、と推測した。
「会社で、いろいろ変化があると、言っていませんでしたか？」
「そうやね、若い子が増えたと、言っていた」
「若い子？」
「若い子が多くなったので、自分みたいな年寄と合わないと言っていたわ。」
「年寄ではないでしょう。」
「でも、居心地が悪いみたい。愚痴をいっている。」
これで、又聞きだが状況は把握できた。
妹の会社はコロナの影響で売上がわるくなり、会社の若返りを図っているようだ。
妹は比較的年をとっているので、新しく入ってきた若い人たちと合わないようだ。
それがストレスになっているのだろう。
この程度まで遠隔PTM易で把握できた。
漢方は、もう一度PTMで選び直して、肩の痛みに対しては「桂枝茯苓丸加薏苡仁」を、ストレスに対しては「柴胡桂枝湯」を選んで、来院している姉にことづけた。そして今回は終了とした。
コメント
●「沢火革」は、改革、変革、革新、革命、などの変化の意味を持つ。比較的わかりやすい卦だ。
「君子豹変す」という有名な言葉は、この卦の上爻（6爻）に由来する。
●「水山蹇」は以前に書いたので見てください。
●PTMはこの例のように代理人をつかえば遠隔でも可能だ。漢方を選ぶことも易をすることもできる。ときどき、代理人なしで漢方を選ぶことを依頼されるが、その時私は自分の指のみでパネルをタッチして選んでいる。でも、その方を知っている代理人がいたほうが気の反応がはっきりするのでわかりやすい。