「沢水困」症例3:50代女性

”どちらにしても困”

月に1回程度来られている方。
今回は、体調が悪くないという。
すこし花粉の症状があるが、ほかはわるくない。
耳鼻科から抗アレルギー薬をもらっている。
漢方も特にいらないという。
でも、娘さんについての相談があるのというので話を聞くことにした。

娘さんに2人目の子供が生まれたので、賃貸マンションをやめて
家を建てたいといっているらしい。
場所は、患者さんの家の近くの西宮市か
それとも娘さんのご主人の実家の三田市にしたいという。
それら2つの候補地をさがしているらしい。

三田市の場合は、ご主人の実家の土地があるのでそこに家を建てればいいという。
土地は買わなくていいので安くすむだろう。
もう一方の西宮市では患者さんの家の近くに土地が見つかったらしい。
でも、土地を買ってさらに家を建てるとなると、かなりのお金がかかる。
場所は気にいったのだが、資金が問題となる可能性がある。
さらに、もっと安い土地を探してもいるらしい。

私が易をやっているので時々患者さんから身体以外の相談を受ける。
不動産については割と多い。
そこで、手元の小さい「投げ算木」を使って卦を組み立ててみた。
いつものように、下から順に気の流れを指標にして算木を積んで卦を作っていく。

最初の問は「西宮で不動産を買うとどうなるか?」
すると、「沢水困4爻」がでた。
困だから良くないだろう。
4爻の爻辞を見ると、「金車に困む」とある。
金策に苦しみそうだ、やめたほうがいいだろう。
西宮は人気があるので不動産は高い。

それでは、三田はどうか?
問は「三田でお婿さんの家の土地をかりて家を建てるとどうなるか?」
卦を組み立てると、全く同じ「沢水困」がでた。
しかし変爻は3爻となり、ここが違う。
3爻の爻辞をみると「その妻を見ず」とある。
これでは、夫婦仲がわるくなるかもしれない。
お婿さんの実家の土地なので、舅、姑の近くに住むことになる。
嫁としては面白くないことがしばしば起こる。
お婿さんが両親の肩をもつと最低だ。
こちらも勧められない。

結局、どちらの選択も「困」なので、
しばらく家を建てることはやめておいたほうがいいだろうと忠告した。

コメント

●いつもやっているPTMで卦を選ぶ時には複数の卦がでるので、その組み合わせから事象を判断することが多い。しかし、算木で卦を組み立てるときには卦はひとつなので変爻も参考にする。

●どの爻が変爻か選ぶのも、算木の初爻から上爻まで指で触って気のながれできめる。

●この症例では2つの問に同じ卦の沢水困がでた。どちらもわるいとすぐに分かるのだが、もっと詳しく知りたいときには変爻の爻辞を参考にする。
面白いことに、今回の場合は、どちらも状況にピッタリの宣託が降りた。

●外来をやっていると、病気以外の問題が結構多い。それが病気に関わっている事がしばしばなのでその時も易が役に立つ。