「水山蹇」症例2:70代女性

” 足のわるい孫のいいなり”


月に1回来られる方。
コレステロールが高いので下げる薬を処方している。
それと時々の症状に漢方で対応している。
今回は、どうですか?と聞いても。
特に悪くないという。
でも、入ってきた時から気の流れが良くない。
重い感じがする。

横になってもらい診察する。
腰はいつものように少し硬い。
股関節もかたくなっている。
運動がもっと必要だ。
腹はやや膨満して食べ過ぎ傾向にある。
胸脇苦満も認める。
(なにかストレスがあるのだろうか?)
気の流れが全体にわるい。
頭もぼーっとしている。
御本人に聞いても、ストレスはないというのだが、変だ。

起きてもらって、PTMで易をしてみた。
「気の流れのわるい原因は?」と問いを立てた。
すると、「風火家人4爻」「水山蹇4爻」
「水天需3爻」「沢雷隨3爻」などが反応する。
家人と蹇なので、身内に誰か足の悪い人がいるのだろうか?と疑う。
そこで聞いてみた。
「誰か足がわるくない?」
  「孫がサッカーで足をいためたので、ギプスをつけた。」
お孫さんが足を捻挫して、2月ていど練習ができないという。
状況はわかった。では次に「水天需」はなにか?
これは、多分孫に対して”心配している”ことではないか。
「需」は「待つ」と見るが、心配することは待つことの一種とも言える。
”不安で待つ、ソワソワして待つ、悪いことが起こらないかと待つ。。。”
それでは「随」は?
そこで聞いてみた。
「お孫さんが心配で、あれこれ、言うことを聞いていませんか?」
  「そうなんです、サッカーもできないし、塾などの送り迎えもやっているし。いろいろ買ってくれと頼まれたりする」とのようだ。
可愛い孫のために、ソワソワして言う通りのことをやって、従っている。
だから「沢雷隨」が出たのだろう。
でも問題は、あまりにも孫を甘やかしていないだろうか?
というのは、別に「水沢節」がでたので。
この「節」は節度が必要なことを意味する。
孫も節度がないし、甘やかす祖母も節度がない。
だから気の流れが悪くなっていた。

言いなりになっていると、孫のためにも良くない。
そこで患者さんに、孫にはできることは自分でさせるようにと、アドバイスした。
漢方は、硬い腰に対して「腸癰湯」を処方して終了とした。

コメント

●「水山蹇」は、足萎えをいみする。多くは比喩的に「すすめない」「停滞」などの状況ででるが、今回のようにそのまま「足が悪い」ばあいもでることもある。

●「沢雷隨」は良いことの場合も、悪い事の場合も従うときにでる。