”アイデアを待つ”
1年ぶりに来られた方。
今回は背中が痛いという。
左の背中がいたくて目が覚めるらしい。
原因はわからない。
整形とか内科に行ったが不明となった。
鎮痛剤でも効かない。
困ったので当院に来た。
横になって診せていただく。
足は緊張がある。
すこし突っ張り感がある。
皮膚が乾燥している。
腹は下腹はやや虚になっている。
腎虚とも言いいにくい。
胃の動きが悪い。
さらに痛みも少し感じる。
頭も重い。
とくに悪いエネルギーも入っていないように思う。
しかし、全体で見ると気の流れがよくない。
「なにかストレスとかありますか?」
「仕事ですこし。」
起きてもらってPTM易で見てみた。
すると「水天需」「沢雷隨」「火地晋」「水山蹇」「沢水困」などが反応する。
水天需なので何かを待っている。
これは何か?
沢雷隨なので何かに従っている。これもなにか?
患者さんに聞いてもよくわからない。
要領を得ない。
それでは火地晋はなにか?
これは進む意味がある。それも5爻が反応しているので、自分ではない。
会社だろうか?
「会社は伸びていますか?」と聞いてみた。
「はい、注文が多く入っている。」
会社はいいが、この方はストレスがおおい、なにか乖離している。
沢雷隨は進む会社について行けていないのかもしれない。
「会社についていけていない?」
「そうですね。仕事がこなせない。アイデアが浮かばない。」
話を聞くと、公報の仕事をしている。そしてチラシやホームページのデザインをしているが、
最近いいアイデアがでなくて煮詰まってしまった。
すると、水天需はアイデアが出るのを待っているのだろう。
「デザインが浮かぶのを待っていますか?」
「そうです。」
それですべての卦のいみが理解できる。
アイデアが出ないので、足踏み状態になっている(水山蹇)そして困っている(沢水困)。
状況はわかった、易が言うことが通ったら、気の流れは良くなってきた。
緊張があると出るべきアイデアもでないだろう。
漢方は緊張をとるため柴胡桂枝乾姜湯と炙甘草湯を処方して終わりとした。
コメント
●「水天需」は待つ、待機する、飲食のこと、などを意味する。
●臨床では時々出る。飲食関連で出ることがおおいように思う。何を待っているのか、患者さんもなかなかわからないことがある。他の卦と組み合わせて推断していく。
●この人の場合は、最初は上司からのオーダーを待っているのだろうと予想したが、話を聞いていくうちにアイデアが浮かぶのを待っているのだとわかった。