「水天需」症例2:40代男性

”待つのが利口”

初診の患者さん。
最近イライラが多く友達に当院を紹介された。
不安があり眠りも浅い。
ついでに腹痛もある。
うつ病かと御本人は思っているが心療内科は行っていない。
望診で、サッと見ただけで首が重いのがわかる。
目も疲れて重い。

横になてもらって診察する。
足は緊張がある。ストレスがありそうだ。
腹も緊張している。
胸脇苦満といっていい。
首が重くて目も疲れている。
更に、意識を集中してみると、後ろの首におもたいエネルギーが乗っている。
このような時には”やるべき仕事””雑用””責任”などがあることがおおい。
やらないといけない差し迫った仕事は重たいエネルギーとして首に乗る。
そこで聞いてみた、
「なにか、やらないといけない事がおおいですか?雑用とか?」
すると「医師への対応が大変で。」という。
「なにやっているんですか?」と、私。
  「調剤薬局の薬剤師です。」と患者さん。
更に聞くと、隣の診療所の内科の先生が色々要求をしてくるらしい。
薬の内容の変更とか、データを調べてもらいたいとか、新しい薬をいれろとか、
患者にたいする態度がわるいとか、なにかにつけ文句と要求がおおいらしい。
調剤以外のそれらへの対応で疲れるという。
それがストレスになっているらしい。
かれが薬局の責任者なのでどうしても仕事量が多くなる。
辞めることを考えているというが。。。

さて、どうしたらいいものか?
起きてもらってPTMで易に聞いみた。
「どのようにすればいいですか?」と問いを立てた。
すると「水天需」、「風天小畜」、「風火家人」、「火山旅」が反応した。
「水天需」なので、とりあえず待てということだろう。
「風火家人」は家族なので、奥さんのことか?
「奥さんは頼りになる?」と聞いてみた。
  「男まさりのひとで、頼りになる。」と答える。
すると、奥さんに相談することを意味すると見た。
「風天小畜」は、”蓄える”や”小さな障害”をいみする。
この場合は、待つ間に、お金や知識を蓄えろという意味だろう。
そして、最後に「火山旅」はなにか。
たぶん、時期が来たら転職せよということだろう。
火山旅は転職、転勤、引っ越しなどをあらわす事が多い。
すべての卦が一つのストーリーで繋がった。
しばらく待って、相談して、準備して、そして辞めろということ。
すべての卦の意味が腑に落ちた。
この話をすると、患者さんも納得されたようだった。

漢方は補中益気湯と酸棗仁湯を処方して終わりにした。

コメント

●水天需は臨床的には待つ、待機、引き伸ばすなどを意味する。

●悪いことを待つときには、心配がある、不安があるという形で出ることがある。

●またこの卦は飲食を意味することで出ることがある。