「山沢損」症例3:70代女性

”破損した庭”

今回で2回目の方。
皮膚の痒みは前回の抗アレルギー薬と漢方の処方でよくなっている。
腹の調子もいいという。
便秘もかいぜんした。
でも、薬がなくなってからまた皮膚の痒みがでてきたという。
薬を続けたほうがいいようだ。

横になって見せていただく。
足は皮膚が乾燥している。
ひどいアレルギーではない。
腹は食べすぎて膨満している。
肝臓のあたりに鬱滞がある。
食べすぎて肝臓がつかれると皮膚に出やすい。
肝臓は解毒の臓器だから毒が皮膚にでてくる。
さらに集中してみていくと、
下の方から重たいエネルギーが入っている。
下の方は土地の問題、動物の問題がおおい。
患者さんにきいてみた。
「土地の問題はないですか?」
  「土地ですか??」
「動物とかいないですか?」
  「動物はいません。」
よくわからない。
起きてもらってPTMで易を見ることにした。

問は「この下からのエネルギーはなにですか?」とした。
すると「山水蒙」、「風天小畜」、「山風蠱」、「山沢損」などが反応した。
小畜なので、やはり動物、生き物の可能性はある。
もう一度聞いてみた。
「動物とか、猫とか犬とか、昆虫とか、なにか気になっていませんか?」
  「蟻が床に上がってくるので、殺虫剤を撒いています。」
「蟻ですか?」
蟻ということは、山風蠱は虫を示しているのだろうか?
蠱は汚いことも示唆するのでひょっとして庭が汚れいているのかもしれない。
「庭は汚くないですか?」
  「そうですね。草が伸びています。3年ぐらい放置しています。」
「えー、それはひどくないですか?」
  「主人が、年取って、庭をキレイにするのがしんどいようです。」
「そうですか。なにか壊れたものとかないですか?」
  「灯籠も壊れています。」
それで大体が了解できた。
山沢損は、庭の破損を意味する。
山水蒙は、草が生えて庭に光が入りにくくなって暗くなっていることを示す。
庭が汚れると蟻も発生するだろう。
土地が汚れると風水的にも気の流れが悪くなう。
患者さんには、業者に頼んで庭の手入れをすることを勧めた。
漢方は五積散などを処方して終わりとした。

コメント

●「山沢損」は、損失、損害、損傷などを意味する。臨床では割とでる卦だ。おおくは損害を被るときに出る。

●今回は「風天小畜」で”小さな生き物”を意味して、「山風蠱」で”虫”を意味した。
「蠱」には汚い含みがある。「蒙」には薄暗い含みがある。「損」には壊れている含みがある。これらを合わせて、手入れされていない草ボウボウの庭のイメージが出て来た。