「山天大畜」症例3:7歳女児

”猫は大きな獣?”

当院にはアトピーで通ってくれている小学生。
皮膚科にも同時に通院している。
漢方と食事の注意で皮膚はかなりよくなっている。
夜は痒くてねれなかったのがよく寝れるようになった。
以前のようは立ち眩みも少なくなった。
わるくない。
今日も、1月ぶりに来院となった。

横になって見せていただく。
脚は乾燥しているが以前よりましになっている。
腹は胃にまだ滞りがある。
腹直筋の軽度の緊張がある。
顔の皮膚は赤みが減っている。
さらに見ていくと、
肩に重たいエネルギーが来ている。
人間のようにはっきりしないし、大きくない。
人間だともっと大きくて輪郭がはっきりしている。
それも下から来ている。
動物だろうか?
そこで聞いてみた。
「なにかペットは、飼っている?」
  「猫が2匹いるよ。」
「なついている?」
  「うん。」
「1つは特になついてない?よってくるでしょ。」
  「うん。」

起きてもらって更にPTM易で見てみた。
問は「入っているエネルギーは何ですか?」とした。
すると、「水地比」「風火家人」「山天大畜」
「沢水困」「山風蠱」などが反応した。
水地比は、仲が良いことを意味する。なついている猫だ。
風火家人は、家族のように扱っている。猫は家族の一員になっている。
山天大畜はどうしてだろうか?
普通は風天小畜がでるはずだ。
なぜなら猫は小さいから大畜よ小畜が合っている。
「猫はどのくらいの大きさ?」
  「これぐらい。」
と、手で大きさを示してくれた。
彼女の首から腹の下あたりまでの大きさだ。
この子にとってはかなり大きい。
だから小畜でなくて大畜がでたのだ。
山風蠱や沢水困が出るのはどうしてか?
蠱は病気でよくでる。沢水困は困っている。
猫は病気かもしれない。
「猫は、何歳?ひょっとして病気でない?」
  「17歳。フラフラしてヨロケている。」
「えー、それじゃ年だね。フラフラする猫は病気かもしれないね。」
  「うん。」
「獣医さんに見せたほうがいいよ。」
  「うん。」
付いてきている母親に猫は病気かもしれないといって、
この子には黄耆建中湯を処方して終わりにした。

コメント

●「山天大畜」は、大きく蓄える、待機する、大きな障害などをいみする。

●臨床では、肉の食べ過ぎの人に、大きな家畜=牛、豚などで反応することが多い。

●今回は面白いことに、”猫=大きな畜生”として反応した。上に書いたように猫は普通は「風天小畜」が反応する。でも、この患者さんが猫を”大きい”と感じているので山天大畜が出た。風火家人も同様で、猫は本当は動物だが、この患者さんが”家族”のように思っているので家人が反応したといえる。