”同人と家人の間”
数カ月ぶりに来られた方。
体調はわるくないが、
アレルギーの子どもの診察についてきたので
自分も見てほしいという。
御本人は職場を変わってストレスがすこしあるという。
イライラも時々ある。
肩こりもあるという。
横になってもらって見ることにした。
足はややむくみ気味。
腹には力がある。体力はありそうだ。
胸脇苦満を少し認める。
ストレスがあるのは間違いなさそうだ。
意識を集中すると、
喉につまり感があるのがわかる。
目も重たい。
のぼせ感がある。
皮膚は少しかゆいので少しのアレルギーを疑う。
全般的な気の流れはそれほどいいわけではない。
何か停滞感がある。
起きてもらってPTMで易をみてみた。
「身体の奥の問題は?」と聞いてみた。
すると、「地水師」「山火賁」「地天泰」
「天火同人」「風火家人」がでた。
天火同人の4爻なので、誰か他人が問題だ。
天火同人と地水師を一緒に別の指でさわると反応が強い。
この2つの卦が揃うと、誰かと仲が悪くなっている。
臨床ではよくあるパターンだ。
「誰か他人と喧嘩していますか?例えば職場の人とか。。」と聞いてみた。
「そんな人はいない。」と言われる。
それでは誰だろう?変だ。
また「風火家人」の4爻も同時に反応する。これも変だ。
家人は家族や親戚を意味する。
普通は、「同人」と「家人」は別なので一緒に反応することはない。
でも、フット気がついた。
「もしかして、彼氏とかいませんか?」
「あ~ぁ、主人が5年前に亡くなったので、パートナーはいます。」
やっぱり、そうか!
同人と家人が反応するときは、他人でもないし家族でもない、つまりパートナーなのだ。
以前にもこのパタノーンはあった。
そうすると、「地天泰」も理解できる。
地天泰は一般に安定、安泰などを意味するが、別に男女の関係も意味する。
陰と陽の気が交流している象なので。
さらに、「山火賁」がでている。
これは怒りを意味する。
そこで「パートナーと、今、仲が悪くなっていませんか?」と聞いてみた。
「最近、良く喧嘩する。」と答えた。
それがこの方のストレスになっているのだろう。
でも、地天泰で男女の交流があるので、腐れ縁かもしれないが分かれる事はできないだろう。
今回はストレスに対して、加味逍遥散を処方して終了とした。
コメント
●「天火同人」は、他人、知人、知り合いなどを意味する。人間一般だ。臨床では頻発する。人間関係が臨床では問題になることが非常に多いので。
●たくさんありすぎて、例を上げる事ができない。他人との間に揉め事があったり、感情の食い違いがあったり、また好き嫌いがあったりして、症状に関係するときには反応する卦だ。
●また「天火同人」の初爻の下が反応するときは、先祖以外の死んだ人を意味する。また家族が亡くなって日が浅いと「家人」の下が反応するが、だんだん時間が経っていくと「同人」の下に移っていく。これは面白い現象だ。身内性がなくなって一般の霊になっていくようだ。
●この症例のように、同人と家人の間というのも稀にある。それはパートナーとか内縁の関係を意味する。単なる彼氏、彼女なら同人が反応する。