「天沢履」症例3:50代男性

”先祖を敬うべし”

初診の方。
紹介でこられた方。
手足の先にしびれがあるという。
耳の周りにも違和感がある。
やる気が出ない、
夜にトイレがおおい、そして睡眠が十分にとれない。
まるで女性の更年期のようだ。
ご自身では男性更年期と思っている。
ホルモン補充を泌尿器科で受け始めたがそれでも良くならない。
原因がわからないので、とりあえず、ためしで当院に来たという。
試しでこられても困るのだが、、、

横になって見せていただくことにした。
足は膝とか足関節がかたい。
関節が硬い人は食べ過ぎの人だ。
食べすぎると関節が固くなる。
腹を見ると、確かに前立腺が腫れている所見がある。
膨満気味で肝臓も脂肪肝のようだ。
胃のあたりも、もたれて重たい。
さらに見ていくと、体が奥から熱いのがわかる。
内部から熱がでている、内熱だ。
これも食べ過ぎの所見。
熱くてのぼせている。
「肉を食べるのが多くないですか?」
  「肉は大好きです。」
「野菜とかは食べないんですか?」
  「めったに食べません。」
これでは熱くなっておかしくない。
肉はカロリーの塊だ。
さらに意識を集中してみていくと、右前上から
重たいエネルギーが入っている。
ここの部位は先祖だ。
先祖関連の問題がある。

起きてもらって何が問題か投げ算木で卦を立ててみた。
問は「体の奥の問題は?」と聞いてみた。
すると、「天沢履」が立った。
天沢履は、尊重、尊敬、礼儀を意味する。
先祖関連で礼儀がないのだろう。
すると、墓参りとかしていないのだろうか?
そこで聞いてみた。
「お墓参りとか、されますか?」
  「いいえ、墓がどこにあるのか知りません。」
「えーっ?知らないんですか?他の誰かが見ているんですか?」
  「兄弟はいないので、私が長男です。」
「お父さんは?」
  「まだ生きているけど、認知症があって。」
話によると、今まで墓について一切考えたことがなかったという。
父にも聞いたことがない。興味がなかったらしい。
先祖がどうなっているのか知らない。
しかし、ご自身が長男だったら、それでは困るだろう。
先祖も困っているのでエネルギーとして入ってきている。
それが、今回の症状にどのように関係するかわからない。
しかし、ともかくも先祖がどうなっているか調べたほうがいいだろう。
肉を減らして、そして先祖がどうなっているかを親戚の人に尋ねるようにアドバイスした。漢方は、五積散などを処方して終わりとした。

コメント

●「天沢履」は、礼儀、尊敬、尊重などを意味する。臨床では多くは礼儀がない、尊重しないというようなマイナスの意味で出る。

●人に対する尊敬がない場合が最も多いが、尊敬の対象として、土地や、動物、先祖、神霊などがある。今回は先祖が尊敬の対象だった。

●先祖が問題になるときは、右の前上辺りからエネルギーが来るのでわかる。守ってくれているときは温かい感じがするが、文句があったり怒っているときは重たいエネルギーが入ってくる。先祖供養をすると、意外とわけのわからない症状が消えたりする。
先祖供養はバカに出来ない。