「天地否」症例3:50代女性

”のぼせる年頃”

患者さんが診察室に入る前にカルテを見ると、
当院には時々来てくれている方だ。
今回は半年ぶりのようだ。
どうして来られたのだろうか?
患者さんが診察室に入る前に
投げ算木で易を立ててみた。
「今回は何が問題か?」
すると「天地否」がでた。
天地否は”否塞”を意味するので、何かで困っているのだろうか?
すこし心配になる。
そこで、患者さんに診察室に入ってもらった。

話を聞くと、コレステロールが高くて内科にかかっている。
体重が増えて来たのでそれが心配だという。
大きなストレスもない。
困るような大きな問題はないという。
「天地否」で予測していた状況と違う。

横になってもらい診察する。
足は瘀血があり肝経が突っ張っている。
腹は臍下不仁がすこしある。
肝臓のあたりの鬱滞がある。
やや脂肪肝を疑う。
更に見ていくと、ノボセがあるのがわかる。
首から上が熱くなっている。
「ノボセて顔がほてりませんか?」
  「あります。多分更年期かもしれません。」
そこで、今回の卦の意味が明らかになった。
「天地否」は上下の気の交流がない状態を意味する。
とくに外卦は乾為天なので上に昇る。
エネルギーが昇るので首から上が熱くなる。
卦の形を見ても上3爻が陽で、下3爻が陰で上が重くなっている。
これはノボセの象だ。

患者さんには起きてもらって、PTMで易を見てみた。
すると、桂枝茯苓丸が反応したのでこれを処方。
桂枝茯苓丸は更年期によく使う漢方なので、卦の所見とも一致した。

コメント

●「天地否」は否定、塞がる、不和、失敗などを意味することが多い。

●でも、ときどき臨床上、中高年の女性でノボセを表すことがある。多くは更年期だ。

●患者さんを見る前に、この例のように易を立てて患者さんの状態を予測することもできる。