”安住して婚期を逃す”
月に1回程度来てくれている患者さん。
調子は、わるくないという。
3月だがまだ冷えをかじるという。
それはそうだ、まだ桜もさいていない。
でも、全体的にはそれほど悪くなさそうだ。
しかし、顔を見ると頭に靄がかかっているかんじがする。
私までボーっとしてきた。
これはなにか?
横になってもらい診察する。
足にはひえがある。
腹は少し虚になっている。
胸脇苦満はすこしあるていど。
鍉鍼をしてみると、気の流れが取れない。
ストレスがあるのか?
ボーっとしているということは、
心配事で考えすぎているのかもしれない。
「なにか心配とかないですか?」と聞いてみた。
すると「娘のことで。。。家にいるので。」と、おっしゃる。
娘の何が問題か???
家にいると困ることがあるのか??
娘と仲が悪いのだろうか??いろいろ疑問が湧く。
起きてもらって、PTMで易を見てみた。
「娘さんに関する問題点は?」と問いを立てた。
すると、「地天泰」「沢風大過」「火水未済」が出た。
地天泰は安泰という意味。多くの場合とてもいい卦だ。
でも、今回は問題点を聞いてる。
安泰すぎるのが問題なのか?
「家は、居心地がいいのではないですか?だから出ていかない?」
「そうなんです。早く結婚すればいいのに。」
そうか、娘が家にいて結婚しないのが心配なのだ。
そうすると「沢風大過」は婚期が過ぎていることを意味する。
「何歳ですか?」
「今年で39になります。」
確かに、いまから結婚しても子供はできにくいかもしれない。。
すると「火水未済」は、母としては娘が片付いていないことを意味する。
状況はわかった。
どうするか?とりあえず、家が居心地が良すぎるので、母があまり面倒を見ないようにして、早く出ていくように言うしか方法がないだろう。
漢方は「酸棗仁湯」を処方して終了とした。
コメント
●「地天泰」は、安定、安泰、泰然、健康などを意味する。だから病気を主に診る臨床ではほとんどでない。でもこの例のように、「泰」から動くとき、ズレていくときにはでることがある。
●「地天泰」の裏の卦には「天地否」がある。「天地否」は、塞がり、閉塞、停滞、不通などの凶の意味がある。易は”変化”を重視するので、この2つの卦はお互いを可能性として含む。陽が陰を宿し、陰が陽を宿すというのと全く同じだ。今回は、まだ「泰」の状態だったので、治療に反応する可能性がある。「否」になると良くない。
●PTMで漢方が十分に反応しないことがある、その時は西洋薬をつかうべきだ。場合によってはハーブとかホメオパシーのレメディーということもある。これらすべてPTMで選択できる。だからウチの処方は多くは漢方だが、西洋薬も組み合わせることが一般的だ。漢方にこだわって、大量の煎じ薬を処方することはない。