”死んでもキツイ義理の父”
3週間前に頭痛で来られた方。
漢方で頭痛は減少した。
頭痛があっても西洋薬ですぐに痛みが取れるようになった。
調子はいいという。
頭痛がとれたら、次は以前からある睡眠障害が気になるという。
入眠がわるい。
1時間程度かかるという。
睡眠薬はなるべく使いたくないと仰る。
横になって見せていただく。
足は、肝経が緊張している。
ストレスがある所見だ。
腹にも胸脇苦満が左に多くみとめる。
胃の動きが悪い。
痩せ気味の方なので、食欲はそれほど良くないのだろう。
更に見ると、肩こりがひどい。
目がおもたい。
頭がすこしボーっとしている。
何か肩に乗っている感じがする。
これはなにか?
起きてもらってPTM易で見てみた。
問は「肩に乗っているエネルギーは何ですか?」とした。
すると、「乾為天」「地水師」「天沢履」「天火同人」「火天大有」「山火賁」
「雷天大壮」「風火家人」「雷沢帰妹」「火山旅」「火水未済」が反応した。
これでは、多すぎる。
多すぎると、本質がわからない。
でも、患者さんに聞きながら、あえて解釈を試みた。
まず、わりとハッキリしたエネルギーなので、人間だろうと思う。
そこで、共通するイメージを拾っていった。
乾為天は、独善的で、突き進むような人を意味する。
火天大有は、指導者、偉い人だ。
雷天大壮は、声が大きな、うるさい人だ。
地水師は、喧嘩、争いを意味する。
山火賁は、怒りを意味する。
以上から「偉そうで、声が大きく、厚かましく、怒りっぽい人」のイメージが出てくる
次に、風火家人は身内を意味する。ところが、天火同人は身内以外の他人を意味する。
この2つの卦は反対の意味なのでよくわからない。
そこで、とりあえず患者さんにわかったとこから聞いてみた。
「誰か、偉そうで、よく怒る、口やかましい人はいませんか?」
「とくに、いません。」
「身内とか、他人とか、だれでもいいんで、いませんか?」
「思いつきません。」
「時々、思い出して、腹が立つような人はいませんか?」
「分かれた家内の父親がそうですが、3年前に亡くなりました。」
すると、風火家人と雷沢帰妹が意味が取れる。
この2つで配偶者を意味することがある。
別れた奥さんでいいだろう。
別れたので他人になったので天火同人が出てもいい。
かつての義理の父は、遠い関係なので天火同人でいいだろう。
でも、おかしいのは、天火同人にしても乾為天にしても、すべてが3爻が反応する。
これは生きている人の反応だ。
しかし、よくみてみると、火山旅のみが地下2爻で反応した。
これは死んでいる人の反応だ。
あの世に旅立ったと言う意味がある。
すると、死んでいる人がまるで生きているようにエネルギーが来ている。
どうしてだろう?
更に話をきいて分かったことは、
別れた奥さんがその父の骨をお墓に入れたのは2月まえのことらしい。
それならば、この世にエネルギーが残っていてもおかしくない。
さらに、この方が義理の父が生きているかのように思い出して腹が立っている。
それが理由だろう。
残ったの卦の、天沢履は、義理の父はこの方をまったく尊重しなかったことを意味する。
火水未済は、この方の感情が処理されていないこと、それと義理の父が成仏できていないことをいみする。
これで全ての卦が繋がった。
今回は、漢方は抑肝散を処方して終わりとした。
コメント
●「乾為天」は、剛健、高貴、偉大、尊大、自信過剰、などをいみする。臨床ではあまりでない。純陽の卦なのだが、現実の事柄は白黒ハッキリしないグレイが多いからだろう。
●この症例のように、死んだ人が生きているような感じでエネルギーが入ることがある。患者さんが、その人をまるで生きているように感じているときなどにおこる。死んだ人が苦しんでいてこの世に執着があるときも残る。また、残された人が、骨をお墓に入れずに仏壇などにおいておくと、この世にエネルギーが残りやすい。
●このように、たくさん卦が反応することがある。そのときは、グループごとにまとめて推測して、患者さんに確かめながら絞り込んでいく。