「 風沢中孚」症例3:30代女性

”不誠実な父”

時々来てくれる方。
今回は睡眠がよくないという。
朝起きた時にめまいもある。
1月前に大きなめまいがあって、それから
軽いのが残っている。
2週間前にコロナになったという。
症状は軽かったが、咳が少し残る。
体がおもたい。
夏バテが残っているのかもしれないと、仰る。
内科で薬をもらったが良くならない。
血液検査でも異常は見つからない。

横になって見せていただく。
脚にはむくみがある。
全体的に重たい感じがある。
瘀血もある。
腹は、胃のあたりに痛みを感じる。
胃腸の流れが悪い。
胃の裏の背中の流れも悪い。
更に見ていくと、右前の遠く深くからエネルギーが
入っているように思える。
そのために全体的に気の流れが重くなっている。
これは何なのか?

起きてもらってPTM易で見てみた。
問は「この奥から来ているエネルギーはなにですか?」とした。
すると、「天火同人」「風火家人」「地水師」「山火賁」「火山旅」「風沢中孚」「火水未済」が反応した。
卦がたくさん出たので、解釈が難しいことがある。
関係する卦をまとめてみていく。
まず、地水師と山火賁の組み合わせは臨床では多く出る。
「師」は喧嘩、対立を意味する。「賁」は怒りを意味することが多い。
だから、誰かと仲が悪く怒っている可能性がある。
「誰かが、怒っているような人はいませんか?」
  「いません」
最近は、特に人間関係で問題となることはないという。
それなら、過去のことかもしれない。
エネルギーが深いとこから来るときは、過去のことがある。
特に、過去のトラウマが関係することがある。
「昔の人で、誰かいませんか?思い出して嫌な気持ちになるような人で、いませんか?」
  「父がそうです。」
「お父さんが?どうして?」
  「25年会ってなかったんです。9月に叔母さんが亡くなった時に葬式で会いました。」
「えーっ、会ってなかったですか?お母さんが離婚されたの?」
  「そうです、父が出ていったんです。」
話によると、お父さんは真面目でなく、仕事もしないし、女性をつくって、
25年前に出ていったという。
それでお母さんが一人でこの方を育てた。
そのことに対して、腹が立っている。
たまたま、叔母さんの葬式であって、昔のトラウマを思い出した。
それから気持ちが落ち着かない。
事情がわかったので、他の卦も理解できた。
風火家人は、家族を意味する。反対に、天火同人は、家族以外の他人を意味する。
この反対の意味の卦が同時に出たのは、この方にとって父は家族であるようで家族でない
状態にあることを示す。
火山旅は、父が出ていったことなどを意味する。
風沢中孚は、誠実、子どもを可愛がるなどのいみがあるが、今回は反対の意味で出ているのだろう。つまり、誠実でない父親として。
さらに、火水未済は、この方にとって父とのトラウマがまだ解決できていないことを意味する。今回は、セントジョーンズワートと抑肝散陳皮半夏を処方して終わりとした。

コメント

●「風沢中孚」は、誠実、真心、可愛がるなどを意味する。臨床ではあまり出ない卦だ。

●臨床的には、卵という意味で出ることが多い。特に卵の食べ過ぎででる。40歳を超えたら、卵は2-3日に1個でいいと思う。久司先生のマクロビオティックでは卵は、月に1回ていどが適量と言われている。

●トラウマになっている事象は、遠くの奥の方からエネルギーが来ていることでわかる。深いところから来ている感じを受ける。そこから来たエネルギーが患者さんの左の肩に乗ってくる。どの年代のトラウマかは、各年代を区切りながら気の流れをみていくことでだいたい分かる