「 地火明夷」症例2:30代男性

”夜の問題”

時々来てくれているひと。
今回は睡眠が悪いという。
寝付きが悪くて2回程度覚めるという。
仕事は忙しい時期なので疲れがある。
でも体調の管理をしているので大きな不調はない。

横になってもらって診察する。
足はむくみがある、中に水が溜まっている感じがある。
食べ過ぎだ。
緊張もある。
腹は、やや膨満気味で食べ過ぎを示唆する。
肝臓もすこし鬱滞気味、脂肪肝といっていい。
喉にイガイガ感がある。
これは最近黄砂で空気が悪いからだろう。
頭は少し重たい、のぼせている。
寝れない原因は良くわからない。
所見上はそんなにストレスがあるようには思えない。

そこで起きてもらってPTMで易を見てみた。
問は「寝れない原因は?」とした。
すると、「地火明夷」「風火家人」が反応した。
「地火明夷」は”正しさが認められない、不遇、外からの障害”などの意味がある。
でも、そのような意味ではこの人の場合にしっくりこない。
すると、なにか?
地火明夷のもとの意味は、”地下に沈んだ太陽”なので夜の象がある。
単純に夜のことを意味するのではないか。
それと「風火家人」は家庭、家のことを意味する。
家での夜のこと、寝具とかはどうだろうか?
「枕とか、ベッドとか、寝るところとかどうですか?」
  「内装を変えたのでベッドの位置をかえました。」
おそらくそれが原因だろう。
意外と寝る方向とかは睡眠に影響する。
そこで、差し支えなければベッドの位置を元の方向にするように勧めた。
今回は、睡眠に対して酸棗仁湯を処方して終了とした。

コメント

●「地火明夷」は、正しさが認められない、不遇、騙される、障害を被る、雌伏の時期、などの意味がある。

●臨床では「自分の努力が認められない」、「家族に反対されて落ち込む」、「本当のことを行ったら左遷された」とかの意味ででたことがある。

●「地火明夷」は地下に太陽が沈んが夜の卦だ。その意味で日の出を意味する「火地晋」とは反対の意味になる。この症例では単純に夜の問題と解釈できた。

●寝る方向は睡眠の質に関係する。以前、毎日「気の流れの良い方向を見て」布団の方向を変えて寝て実験したことがある。