「風地観」症例2:30代男性

”見上げる父”

1年前に罹患したコロナの後遺症で苦しんでいると言って
来院された方。
コロナになって、2週間会社を休んだという。
当時、入院するほどではなかったが、
その後から、ふらつき、頭痛、うつ状態になり、食欲不振が続くという。
心療内科ではドグマチールなどの抗うつ剤が処方されている。
コロナの後遺症としては呼吸器症状がないので、本当にそうかどうか疑問がある。
最初の診察のときは、肝虚が目立ったので黄耆建中湯などを処方した。
ついで、3週間後に来院された。

「どうですか?」と聞くと。
  「食欲は出てきたけど、さっぱりしない。」という。
ふらつき。不眠。やる気が出ない。などの症状は変わらないと仰る。
そこで横になって診察する。
足は、まだ肝経の虚が目立つ。
腰も左側が流れが悪くて良くなさそうだ。
左の背中のながれもわるい。
こわばりも感じる。
胃の部分は腹診でわりと充実してきている。
食欲はでてきてそれなりに食べれているようだ。
でも、頭はまだボーッとして重い。
今回は「何が一番問題なのだろうか?」と思いながら
座ってもらってPTMで易を見てみた。

すると、風火家人5爻、天水訟5爻、地山謙5爻と
風地観3爻、水山蹇3爻などが反応する。
これからわかることは、、、
「家人」なので家族や親族に、「訟」のような訴えや文句、要求を言う人がいるのではないだろうか?
そこで聞いてみた「家族や親戚にうるさい人はいませんか?」
 「います、父です。」
「え~、お父さんですか?どうしてうるさいの?」
 「父は社長で、僕はサラリーマンだから。。。」
彼からの話では、父はかなり大きな中小企業の社長でやり手のようだ。
彼は長男だが人付き合いが苦手なので、後継ぎからは外されているようだ。
弟があとを継ぐことに内定しているという。
父は彼にたいして小さいときから激励、要求、苦情を言っていたという。
未だに父には頭が上がらないという。

それであとの卦の意味もわかった。
「風地観」はこの人が父を見上げている様子を表す。
また、「地山謙」は父がこの方に対する尊敬がないこと。
同時に、父の圧迫でこの方は足が萎えている、それが「水山蹇」だ。

他にも「地水師」がでたので、父に対する怒りもあるようだ。
今回は、怒りを鎮める「抑肝散陳皮半夏」を処方した。
怒りをおさめて、冷静に判断して対処することが必要だ。

コメント

●風地観は、見る、眺める、など、それに精神的な意味合いもでてくる。

●卦の形から、鳥居、門、墓などの意味にもとれることがある。

●今回は「大きな父を見上げる」といういみで「観」がでた。

●コロナの後遺症といっていろいろな症状の方が来るが、コロナとは関係ないことが割とある。