”家から離れてストレス解消”
当院には花粉症と片頭痛で通ってこられている。
痛みがあるときにはリザトリプタンを飲んでいる。
最近、頭痛が増加傾向にあり、リザトリプタンがなくなったのでこられた。
花粉症も少し悪くなっている。
他には体調は安定しているという。
横になってもらい、診察に入った。
足はむくみがあり、冷えもある。肝経はやや緊張している。
腹はやや食べ過ぎになっている。
胃のあたりがおもたい。
右の肝は実であり虚もまじる。
全体の気のながれはそれほど良くない。
頭もおもたい。
すこしボーッとしている。
そこで聞いてみた。
「なにかストレスがあるのですか?」
「子育てがあるので、それがストレスかも、、」
「何歳ですか?」
「1才と4才」
「それだと、目が離せないでしょう」
確かに、子供が小さいと、子育てが大変だ。
起きてもらって、座ってPTM易で「何が問題か?」と聞いてみた。
すると「離為火」が反応した。
「離為火」は、離れることと付くことの両方の意味がある。”離合集散”の意味がある。
この方の場合は、何が離れるのが問題なのか?何から離れるのが問題なのか?聞いてみた。
「分離とか、離れるとか、分かれるとか、そんなことはないですか?」
「え~~、ないです。」
それでは、反対の離れるのが少ない場合は、どうだろうか?と、思い聞いてみた。
「どこからから離れにくいとか、出れないとかないですか?」
「それは、家から離れてないです。」
「どうして?」
「子供が小さくて、2人いて、買い物ていどしか行ってない」
「そうですか」
家から”離れられない”のが一番の問題とわかった。
子供から”目を離せない”のと同時に家からも”離れられない”。
その2つが重なってストレスになっている。
話を聞くと、もともとよく外出する行動的な方のようだ。
ところが、子供ができてから、さらに2人になってから、なかなか出れなくなっている。それでは息がつまるだろう。
できるだけ、散歩でもなんでもいいので、頻回に出かける事を勧めた。
漢方は補中益気湯をPTMで選び、フルチカゾンフランカルボン点鼻とリザトリプタンを処方して、今回は終了とした。
コメント
●「離為火」は、離れると付くの2つの意味がある。「火」の動きをみると、メラメラと離れたり付いたりして燃え上がっている。そのようなイメージだ。だから、離れてもまた付くし、付いてもまた離れる。
今までの臨床では「親から離れて娘が家をでた」、「離婚を考えている」などとして出たことがある。
●この症例では「離」が少ないのが問題となっていた。普通の場合は「離」が多いのが問題となりやすいが、状況によって解釈が逆になる。