”歯がなくても大食らい”
今回は、最近下痢をしているといって来られた。
早速、横になってもらって診察する。
腹をさわると、いつものごとく膨満している。
太鼓腹に近い腹。いつも同じなので、またいつもの如く「食べすぎじゃない?」と言う。
患者さんも、「違う」といつもの如く否定される。
食べ過ぎの人ほど、食べ過ぎを指摘されると否定するのはどうしてか?
胃が充満して、肝臓のあたりも腫れている。
たぶん脂肪肝だ。
下腹もはっていて、下痢とは言うが便秘気味だろう。
食べすぎているのは何だろうか?と疑問におもう。
腹を触っていると、フッと「柿」が頭に浮かんだので、
「柿とか果物、おおくない?」と聞く。
今がシーズンなので美味しいらしい。まいにち柿とバナナとナシとリンゴをたべているという。
患者さんは、果物は健康にいいと思っているようだ。
でも、最近の果物は品種改良でとても甘くなっている。
沢山食べると糖分のとりすぎになるのだが、わかっておられない。
起きてもらって、椅子に座りPTM易をする。
本当に「食べ過ぎが問題かどうか?」を易に聞いてみる。
すると、「火雷噬嗑」と「雷天大壮」が反応した。
「雷天大壮」は、食べ過ぎのときによく出る卦だ。
形が「大兌」でなので大きな口の形をしている。
また、「兌」なので「食べるのが楽しい」人のことを意味する。
「大壮」の「大」は「大食らい」の「大」に通じる。
どうして「火雷噬嗑」が出たのだろうか?と思って、患者さんに
「口とか歯か悪くないですか?」と聞くと。
「歯はほとんど抜けて、少ししか残っていない」と言う。
最近は、コロナの影響でマスクをかけているので診察時にはわからない。
なるほど、そうだったのか、
”歯がないのに、たくさん食べて、胃腸に負担をかけて下痢をした”のだろうと理解できた。
いつものように患者さんに食べ過ぎを注意して、今回はPTMで九味檳榔湯が反応したので、これを処方して終了とした。
コメント
●「火雷噬嗑」は、噛む、食べる、口、歯、異物、引っ掛かり、障害物、などを意味する。
以前「人生での障害物(=トラウマ)」や「会社での出る杭」を意味したことがある。
●「雷天大壮」は一般的には、壮大、勇壮、勢い、羽振りがいい、などを意味するが、最初私はこの卦の解釈に困ることがあった。問題があって来ている患者さんで「壮大」とか「勢いがある」とか出るはずがない。ある時から、食べすぎている人に割りと出やすいことに気づいて、「大食らい」の卦でもあることがわかった。
●現実の臨床では、患者さんの食べている物がとても大事になってくる。合っていないものをたべて不調になっていることが多い。その典型は「肉」だが、また後ほどアップします。
●診察中に患者さんが、食べた物、食べたい物がフッと頭に浮かんでくることがある。調子がいい時はかなりの確立で的中する。以前、患者さんが診察室の扉を開けて入ってくるなり、「サンマが食べたくない?」と聞いて、びっくりさせたことがあった。実際にサンマが非常に食べたかった患者さんだった。