”背いてもやるしかない”
当院には頭痛とか鼻炎とかで来てくれている方。
今回は、鼻炎は比較的いいが、頭痛がまた悪くなってきたといって来院。
仕事はそれほど忙しくないらしい。
最近は天気もいいので低気圧の影響もすくない。
肩こり、首こりはある。
御本人は肩こりがきついので頭痛がひどくなったとおっしゃる。
特に、パソコンを使う仕事がおおいので肩こりがふえたという。
確かに、最近はパソコンが必需品になっているので、そういう場合もあるだろう。
そこで横になってもらって、診ることにした。
足はすこしむくみ気味、軽く瘀血がある。
皮膚はすこしアレルギー気味でカサカサしている。
腹にも、下腹にすこし瘀血の硬結をふれる。
胃が流れが悪いのか、重い感じがする。
喉のイガイガ感もすこしのこる。
アレルギーの症状は残っている。
全体の気の流れを見ると、わりと重い。
特に左の肩の後ろで黒く澱んでいる。
じっと集中してみると、世間でいうところの「霊」ではない。
霊だと多くは払える。
また特定の人間の悪意でもない。
特定の人なら輪郭がはっきりしてもっと鋭い痛みを感じる。
何だろうか?でも、重いし苦しい。
「ストレスはないか?」と聞いてみても、特にないという。
わからないので、起きてもらって座ってもらいPTM易で聞いてみた。
「左の肩に入っているマイナスのエネルギーは?」と問いを立てた。
すると、「火沢睽」が反応。
「火沢睽」は”半目、背く、背を背ける、顔を背ける”などを意味する。
そこで聞いてみた。
「誰かと、顔を背けるような関係はないですか?」
「特にない」と答える。みんなと仲良くやっているという。
「それでは、誰か2人、仲が悪い人とかいませんか?」
「それはいる。その2人が大変で職場の雰囲気が悪い。私はその2人の間に座っているので、仲を取り持っつのが大変」だと答えてくれた。
そうすると、この「火沢睽」はその2人のことを意味する。
で、その2人からマイナスの影響を、中間にいるこの患者さんがもらっているのだ。
2人は直接は喧嘩しないが、この患者さんを介して間接的に喧嘩状態になっている。
患者さんは意識しなくても、それが潜在的なストレスになっている。
どうするか?PTMで漢方を選んでみた。すると「抑肝散加陳皮半夏」が反応した。さらに、抑肝散加陳皮半夏をPTMで選んだ時に、左肩に入ったギスギスしたエネルギーも穏やかになった。コレは「入ってきている人」にも効くかもしれない。
こういうことが、時々ある。
患者さん自身に効く漢方を選んでいるのだが、患者さんに影響を及ぼしている人にも間接的にその漢方が作用することがある。
当然、「入っている人」に飲ませるわけには行かないので、気のレベルでの交流を通じて影響が及ぶといえる。
PTMをやっていると肩の重さが減ったことを患者さん自身も感じてくれた。
そこで、「抑肝散加陳皮半夏」を1日に2回飲むように処方した。特に、仕事中はこの漢方をポケットにずっと入れていて、そして適宜仕事中に飲むように指示した。
こうすることにより、患者さんに来てているエネルギーが中和されて周りの人も良くなることがある。
約1月後に再診で来られた。
話をきくと、患者さん自身気分が楽になり、肩こりがへったという。スゴイのは例の仲が悪い2人も、穏やかになって、職場全体の雰囲気が変わったという。
そのことにとても感謝してくれた。
だから、職場の上司が患者さんに、ウチからだした漢方を必ず飲むように勧めたと言うくらいだ。
今回は、気の流れを診ると、全体のエネルギーが明らかにプラスに変化していた。
今回は、冬になり冷えが出てきたので、PTMで桂枝加朮附湯と附子理中湯を選んで、終了とした。
コメント
●「火沢睽」はそむく、半目、背反、背ける、不一致、内輪もめ、などの意味がある。臨床でもそのような意味で出る。
●以前には「従業員と反目」「家族間の半目」「会社をやめたい」「職員二人が仲が悪い」などででたことがある。
●面白いのは「食物が合わない」ときにもこの卦がでる。