「火山旅」症例3:30代男性

”辞めたい上司”

今回は2回目の受診となる。
前回は頭痛で受診した方。
頭痛は会社のストレスによる緊張性の頭痛だった。
漢方でよくなった。
今回は、すこし睡眠が悪いと言ってこられた。
会社のストレスは続いている。

横になって見せていただく。
足は痩せ気味で緊張がある。
脾虚があるので食欲がないのかもしれない。
腹は、ややガスがたまっている。
胃の動きが悪い。
少し夏バテ気味か?
喉のつまり感がある。
首が重たい。
更に見ていくと、左の肩に重たいエネルギーが入っている。
人間のように思える。

起きてもらってPTMで易で見てみた。
問は「入っているエネルギーは何ですか?」とした。
すると、「天火同人」「坎為水」「沢水困」「火山旅」が反応した。
同人は、同僚、友人、仲間を意味する。
困は、困難、困っている、伸びれない、などを意味する。
坎は、穴に落ち込む、出れない、窮地、などを意味する。
易では「困」と「坎」は良くない卦の代表だ。
誰かが、困難に直面して、困っている可能性がある。
この患者さんではない。
そこで聞いてみた。
「誰か、周りの人で困っている人はいませんか?」
  「上司の課長が困っています。」
「どうして?」
  「チームの成績が悪くて、かつ上の方から責められているようです。」
「中間管理職?」
  「そうです。挟まれて、大変そうです。僕は相談を受けるんです。辞めると言っています。」
「えっー」
この患者さんはおとなしくて、自己主張が強くないので、上司は話しやすいようだ。
だからエネルギーを被っている。
そうすると「火山旅」は、この方の上司が会社を辞めようとしていることを指すのだろう。
出た卦の感じからすると、追い込まれている感じをうける。
会社は問題が多いが、患者さんはまだ若いのでしばらくは頑張るという。
漢方は酸棗仁湯を処方して終了とした。

コメント

●「火山旅」は、旅行、移動、出張、転勤、引っ越しなどででる。多くは不安定な状態をしめす。


●今回のように、辞めるのも「火山旅」で出ることがある。辞めると、ほぼなからず場所の移動を伴うからだ。

●以前に書いたように「坎為水」、「沢水困」、「水山蹇」は三大凶卦だ。この方の上司にこのうち2つが出たということは、見通しが悪い。辞めざるをえない状況だろう。